アフラック スーパー介護年金プランVタイプを比較・評価

アフラック スーパー介護年金プランVタイプ
オススメ度:
1
保険会社:
アフラック
名称:
スーパー介護年金プランVタイプ
加入年齢:
18~60歳
保障期間:
終身
保障内容:
認知症・寝たきり
特徴:
65歳時に保障を選べる介護保険

スーパー介護年金プランVタイプは、2000年5月からアフラックが販売している保険です。アフラックの保険はリニューアルされることが多いのですが、この保険は20年以上もリニューアルされず販売されています。そのため一部の保障内容で他社よりも少し古くさい感もあります。

ただ、選択するプラン次第では他社には無い有利な点があり、それがロングセラーに繋がっている可能性もあります。それでは以下で保険の概要を記載し他社の保険と比較していきます。

概要

スーパー介護年金プランVタイプの最大の特徴は65歳までと65歳以降で保障内容が異なる点です。65歳までは介護だけではなく交通事故等による高度障害が保障対象となります。それが65歳以降は4つのプランから自分で保障内容を選ぶことになります。

65歳になった時点で引き続き介護が心配なら、介護保障プランか公的介護保険制度連動年金プランを選べます。その一方で、65歳時点で健康に不安が無かったり老後資金の方が心配なら、確定年金プランか一時金受取プランを選べます。

アフラック スーパー介護年金プランVタイプの4つのプラン(出典:アフラック公式HP)

また、65歳前に解約すると解約返戻金が受け取れますが、64歳で解約しても解約返戻金は支払った保険料総額の70%となります。仮に30歳から月額4000円の保険料を支払えば総額は約163万円ですが、解約返戻金は約114万円になります。

ちなみに65歳前に死亡しても死亡保険金が受け取れますが、その金額は契約からの経過年数によって決まります。これは解約返戻金と同様に支払った保険料総額よりも少なくなることを示しています。死亡するかはさておき、解約は損することに直結する点は注意が必要です。次に保障内容を精査していきます。

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保障内容

この保険は65歳までは認知症か寝たきり状態になると、介護一時金と介護年金(10年間)が受け取れます。要介護度ではなく認知症か寝たきりに限定されており、認知症も軽度・初期段階の認知症ではなく一定程度は進行した状態が求められます。

具体的には季節・昼夜が常時認識でない、自分の家・現在地を認識できない、家族・周囲の人が認識できないといった具合です。高度障害状態でも一時金と年金が受け取れますが、その条件は両目の失明・手首から先以上を失う等々の状態とされています。この条件では指を1本失う程度では高度障害には該当しないことになります。

アフラック スーパー介護年金プランVタイプの65歳までの保障内容(出典:アフラック公式HP)

65歳以降の4プランのうち「介護保障プラン」は65歳前と基本的には同じです。認知症・寝たきりになれば介護一時金と介護年金が受け取れ、介護を経て死亡すると死亡保険金が受け取れます。ただ、65歳以上だと認知症になっていなくとも、転倒して骨折して要介護状態になることもあります。そういった場合は介護保障プランでは保障されない点に注意が必要です。

その点、「公的介護保険連動年金プラン」は条件が緩くなり、公的介護保険の要支援か要介護状態に認定されれば年金が受け取れます。認定されずに死亡しても遺族が払戻金を受け取れます。払戻金という名称ですが、基本的に死亡保険金と同じ範疇に入るため金額は支払った保険料総額を下回ります。

「確定年金プラン」は支払った保険料に応じて、年金が10年間受け取れるプランです。「一時金受取プラン」では分割せずに一括で受け取れます。前者は公的な年金を補完でき、後者は住宅ローンの一括返済の足しになるかもしれません。ただ、後段のデメリットで記述するように金額面では不満が出てきそうです。

メリット

この保険を他社と比較すると、要支援1・要支援2・要介護1が保障対象という点がメリットに挙げられます。他社の介護保険は要介護2から保障することが多く、朝日生命の「あんしん介護」でも保障されるのは要支援2からです。この保険の要支援1から保障されるのは大きなメリットといえます。

アフラック スーパー介護年金プランVタイプの公的介護保険制度連動年金プランの保障内容(出典:アフラック公式HP)

軽度の介護状態から保険金が受け取れれば、その段階でリフォーム・バリアフリー化や介護ベッド等の購入に充てられます。初期段階の数十万円単位の出費を保険金でカバーできるのは大きいでしょう。要介護認定が2.3.4.5と認定されていけば、その分だけ在宅サービス(訪問看護等)の利用料金は公的介護保険で軽減されるため、むしろ介護初期こそ保険金が必要とも考えられます。

ちなみに厚生労働省の介護保険事業報告によると、要支援・要介護認定者数のうち要支援1が14%、要支援2が13%、要介護1が20%ほどを占めています。合計すると全体の47%で、認定者の半数近くが要介護1以下の人となります。この中で要介護2以上まで進行せずに死亡するケースも相当にあると考えると、要支援の段階で保険金を受け取れるのは大きなメリットです。

要介護(要支援)認定者数の推移グラフ(出典:厚生労働省の介護保険事業報告)

さらに要介護2前に認知症で保険金が受け取れる可能性もあります。他社の介護保険では要介護2認定以外では保険金が受け取れないことがありますが、この保険は要介護認定を受けなくても認知症で保険金の条件を満たすことも考えられます。

また、65歳の時点でプラン選択できるのも地味にメリットです。65歳までに大病なく生活習慣病とも無縁であれば、受け取れるか分からない介護年金よりも確定年金を受け取りたいという人もいるでしょう。健康に自信が無くても、自分の想定以上に年金が少なくて確定年金が受け取りたい人もいるでしょう。介護に備える以外の使い道があるのはメリットです。

デメリット・注意点

この保険のデメリットは、まずは介護保障プランでも介護年金が受け取れるのは10年と短い点です。他社では介護年金だと死亡するまで一生涯受け取れます。70歳で認知症・寝たきりになって10年目の80歳でパタリと年金が止まると、それ以降の介護費用に支障を来たすのは目に見えています。

さらに保障されるのは認知症・寝たきりだけという点もデメリットです。転倒による要介護状態が保障されないのに加えて、軽度の認知症も保障されません。昨今では薬剤によって認知症の進行を一定程度は遅らせられるようになっています。この保険だと認知症を進行させないと保険金が受け取れないというジレンマに陥ってしまいます。

それなら公的介護保険制度連動年金プランを選択すれば良いように思えますが、そうなると返戻率が低いという決定的なデメリットにぶつかります。この保険の返戻率は今は不明な面がありますが、2014年時点では公表されていました。下図の2014年時点では同プランの返戻率は107%程度です。

アフラック スーパー介護年金プランVタイプの仕組みと保障内容・保険料・介護年金・特約など(出典:アフラック公式HP※2015年時点)

日銀のマイナス金利導入前の2014年時点で107%となると、現在は100%近辺か100%以下の可能性が高いです。なぜなら現在は学資保険や個人年金保険を見ても明らかなように、数年前よりも返戻率は著しく下がっています。もともとアフラックは運用が下手(学資保険等の返戻率が低い)ですが、一段と損する幅が大きくなったといえます。

確定年金プラン・一時金受取プランも年金を受け取れても、支払った保険料総額の80%以下なら意味があるのか疑問です。65歳以下で認知症・寝たきりになる可能性が著しく低いことを考えると、損した分は65歳までの保障分だと考えるのも無理があります。

既に契約済みの人は悩ましい状況かもしれません。65歳前に解約すれば解約返戻金でも30%の損をし、65歳以降では介護保障プランを選ばないと損をするからです。取り得る選択肢としては、最も損失が少ない公的介護連動プランを選択するのが妥当ですが、一時金受取プランで受け取って自力で運用してプラスを狙うのも手かもしれません。

保険料と保障を他社と比較

この保険の保険料は30歳男性・基準年金額60万円・終身払いだと月額4224円です。同じ条件で40歳だと5478円、50歳だと7554円になります。介護保障プランを選択して認知症・寝たきりになると、60万円の一時金と60万円の年金(10年間)が受け取れます。仮に40歳で契約して80歳で認知症になったとすると、返戻率は40歳で251%となり返戻率が100%を上回ります。そのため貯金よりも大きく得だったことになります。

アフラック スーパー介護年金プランVタイプの介護年金60万円コースの保険料(出典:アフラック公式HP)

ただ、介護保障プランにはデメリットもあります。そのため他の3プランを検討している人もいるでしょうが、前述したように返戻率は100%近辺か下回ります。そのため返戻率を重視する(貯金よりも得な保険が欲しい)なら介護保障プランを選ばざるを得ません。

他方で他社の介護保険と比較すると返戻率は高いのでしょうか。下図で15以上の介護保険を返戻率で比較してしました。返戻率は80歳で保険金を受け取り始めて、90歳で死亡する想定で計算しています。さらに介護保険を比較する上で重要な保険金の支払条件、介護年金の受取期間等も比較しました。下図の比較図を見て下さい。

介護保険の保障内容・保険金支払条件・保険金回数・40~60歳の保険料の返戻率の比較表(明治安田生命・アフラック・太陽生命・ソニー生命・住友生命・東京海上日動あんしん生命・ジブラルタ生命・JA共済・全労済・コープ共済・コープ団体保険・日本生命・朝日生命・大同生命)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

アフラックの返戻率は一見すると他社よりも高めに見えますが、保険金支払条件が認知症・寝たきりな点を差し引く必要があります。寝たきりは要介護4-5と考えると他社の要介護2以上よりも厳しめなのは明白です。寝たきりになる前に死亡する可能性や、寝たきりになった後に10年生きられるかと考えると、想定よりも返戻率は低いともいえます。

そう考えると保険金支払条件がアフラックよりも緩い朝日生命「あんしん介護」やJA共済「介護共済」の方が返戻率が高い可能性があります。また、保険金支払条件を度外視してもソニー生命や明治安田生命の方が返戻率が高いのも見逃せません。

評判・苦情

アフラックの決算資料によると、2019年度(2019年4月~2020年3月)の介護保険の新契約件数は僅か962件です。前年度も僅か1149件でしたが、そこから一段と減少しました。がん保険は83万件、医療保険が27万件のため介護保険の件数は極めて少ないです。そのため契約件数から考えると、販売は不調で評判は良くないといえます。

さらに生命保険協会のデータによると、アフラック全体に寄せられている苦情数は6.1万件(2020年度実績)です。総契約数の2413万件で割ると苦情率は0.25%で、1000契約のうち2.5件で苦情が発生している計算です。一時期は0.3%台だったため少し改善されていますが、それでも日本生命・太陽生命等よりは高い数字です。各保険会社で主力商品が異なるため苦情率は参考値ではありますが、苦情は平均か多めといえます。

大規模調査でも同様で、調査・コンサルティング会社のJ.D.パワージャパンの「2021年 生命保険契約満足度調査」でもダイレクト型の6社中は4位と下位です。アフラックよりも上位にはライフネット・オリックス・メットライフがいます。この調査は保険を新規購入・更新した約6000人を対象としているため、数十人程度の口コミよりも信頼が置けます。

2021年生命保険契約・顧客満足度ランキング(出典:JDパワー2021年生命保険契約満足度調査)

対面型の保険会社と数字で比較するのは正当性を欠くかもしれませんが、アフラックの数字では下位なのは間違いありません。現に2020年度までは対面・ダイレクトで分割されていませんでしたが、アフラックは19位と下位でした。

逆に高評価だったのはオリコンの生命保険会社ランキング(9000人対象の調査)です。アフラックは26社中で9位と上位に位置しています。ただ、高評価だったのは保険料と商品内容だったことを考えると、評価を得たのは他の保険(がん保険・医療保険)である可能性が高そうです。

以上のデータから考えると、介護保険そのものの評判は悪く、アフラック全体への顧客満足度・評価も決して良いとはいえなそうです。やはり契約件数が示す通り、アフラックはがん保険等のみが検討対象なのかもしれません。

総合評価・おすすめか?

結論としては、アフラックの介護保険はオススメし難い保険といえます。あくまで総合的な評価のため、メリットである要支援1からの保障と65歳時点で別の用途に利用可能という2点が気に入ったなら、契約しても良いかもしれません。ただ、既述したようにメリットの背景にはデメリットも潜んでいる点を忘れないで下さい。

この2点に魅力を感じないなら他社の介護保険も検討した方が良いでしょう。他社にはアフラックよりも保険金支払基準が緩い朝日生命、返戻率が高いソニー生命・コープの介護保険もあります。ジブラルタや太陽生命も特徴からすれば検討の余地があり、それらの保険もアフラックと別に検討するのが賢明でしょう。