みずほ米国ハイイールド債券ファンド ブラジルレアルコース/ みずほ投信投資顧問

みずほ投信投資顧問/みずほ米国ハイイールド債券ファンド ブラジルレアルコース
オススメ度:
1
運用会社:
みずほ投信投資顧問
商品名:
みずほ米国ハイイールド債券ファンド ブラジルレアルコース ※米HYブ
地域/決算:
米国 / 毎月分配型(年12回)
対象資産:
債券
基準価額:
6,415円(2012年12月3日付け)
手数料:
3.0%(申込手数料 ※みずほインベスターズ証券) 0.88%(信託報酬)

みずほ米国ハイ債ファンド レアルは利回りなどの数字面で薦められず!

この投信は、米企業の社債で、格付けがBB格以下の信用力の低い債券に投資し、その売却益と利息収入で分配金を出している。ブラジル通貨のレアルで為替ヘッジしているため為替差益も得ている。この投信以外に、みずほ投信には「USハイイールドオープンBコース」が存在するが、こちらとは構成されている債券銘柄も異なり、為替ヘッジの有無の点で差異がある。さて、この投信の現在の分配金は毎月100円だが、過去に遡れば2011年11月~2012年10月までは140円、2010年5月~2011年11月までは150-180円を分配をしており、年々状況は厳しくなっているといえる。

みずほ米国ハイイールド債券ファンド ブラジルレアルコースの基準価額(基準価格)及び純資産の推移チャート

基準価額だが、他社の同型レアルヘッジの投信と同じ動きで下落し、現在はレアル相場が安定しているため横ばいを維持している。累積投資額は上昇はしているが勢いは鈍い。再びレアルが動けば消え去りそうな上昇だ。一方で純資産は増加しており、債券市場全体での債券価格の上昇も影響しているだろうが、2012年前半の運用状況を見ると買付金額が売りよりも若干上回っているのも影響しているだろう。みずほ投信のファンドランキングでもトップ5に入る人気ぶりが、その証明といえる。

みずほ米国ハイイールド債券ファンド ブラジルレアルコースの構成銘柄・業種比率・デュレーション・個別組み入れ銘柄など

構成銘柄の社債は、格付けはシングルBが半数以上を占め、残りをダブルBとトリプルCで分け合っている。前述のみずほの投信と同様に、他社よりもトリプルCが高比率で、リスク覚悟で高利回りを狙っているようだ。業種では他社と異なりサービス・運輸と素材が高比率だ。

上位の個別銘柄では、いきなりトップが格付け無しの社債で、クレジットカード決済や顧客管理と顧客データの集積・分析でマーケティングも行っている「アライアンス・データ」がトップとなっている。次いで、人工衛星による通信大手だが人口衛星の失敗・引退の繰り返しで財務面には不安が残る「インテルサット」、自動車保険が主力の全米第三位の損保会社である「リバティー・ミューチュアル」などが名を連ねている。

米国の製造業景況感・失業率・品目別輸出など

近々の米国経済は、全体としては復調気配にはあるが、本来の状態には程遠い。そのマイナス要因としては、製造業の景況感が好景気・不景気の節目である50を行ったり来たりを繰り返し、特に製造業のメッカであるフィラデルフィアの数字が弱い。さらに、輸出を見ても外部環境の影響が大きく、債務問題で揺れる欧州だけでなく、中国向けの輸出が明らかに鈍化している。かろうじて南米向けの輸出で保っているだけだ。

逆にプラス要因は個人消費が堅調な点で、2012年後半はハリケーンの影響で低迷しているものの、自動車と住宅・建物用の建材が好調だ。住宅価格も底打ちし、新築住宅着工件数も反転しかけているのも支えの1つだ。失業率も改善傾向にある。今まで就職を諦めていた人が、米政府の失業給付延長の期限切れを見越して、就職意欲を取り戻しているため、上下はあれど回復基調なのは間違いない。

次に、他社の米国ハイ債型の投資信託(純資産ランキングで上位)と基準価額・手数料・信託報酬・利益(利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額)・分配利回り等を比較した。加えて、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。 計算上は「前年比で基準価額がマイナス5%なら、1~3年後も5%ずつ減額すると仮定し、3年分の分配金を足すと元金100万円はプラスか?」※増減率は基準価額が1年前から何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。

商品名 フィデリティ
USハイイールド
ファンド
野村
米国ハイイールド
豪ドル
野村
米国ハイイールド
レアル
PIMCO
米国ハイイールド
レアル
みずほ
米国ハイイールド
レアル
基準価額 4,834円 11,192円 7,632円 6,787円 6,415円
増減率 +1.5% -1.4% -13.6% -11.9% -11.5%
手数料 1.7% 3.0% 3.0% 3.0% 3.0%
信託報酬 1.58% 0.88% 0.88% 1.60% 0.88%
信託財産
留保額
0% 0.5% 0.5% 0% 0.5%
分配利回り 15.8% 20.6% 22.7% 24.9% 17.8%
3年分の
利益額
456,907円 581,917円 646,147円 717,639円 499,785円
100万で3年運用
※基準価額
増減考慮
1,502,297円 1,541,748円 1,290,536円 1,400,305円 1,192,534円
最終予想
利回り
14.5% 15.5% 8.8% 11.8% 6.05%
米国ハイイールド債型の投資信託の比較表(フィデリティUSハイイールド・野村 米国ハイイールド豪ドル・野村 米国ハイイールド レアル・PIMCO米国ハイイールド レアル・みずほ米国ハイイールド レアル)

上図で「みずほ米国ハイイールド レアル」を比較したが、基準価額が1年前の7,250円から現在の6415円まで10%以上のマイナスを記録している。これは円高レアル安が進行したためで、他社のレアルで為替ヘッジした米ハイ型投信よりも下落を抑えているが、レアルでヘッジしていない投信とは比較にならないほどのマイナス幅だ。また、手数料は高めだが、信託報酬は安価な部類に入る。ただ、分配利回りはレアル系の投信の中では低く、分配金の減配傾向もあり20%を切っている。基準価額の上下も加味して最終予想利回りを計算すると、6%前後とワーストの数字となった。さらに2013~2014年に減配が続くようであれば、2~3%の利回りも視野に入ってくる。

結論としては、数字面でオススメできない投信といえる。また、レアルで為替ヘッジしているため、レアル安が進行した場合の落ち込みの懸念からも薦めにくい。ただ、近々は純資産が増加している点や、今後の爆発的な躍進が見込めるトリプルCの債券の比率が高い点から、上向く可能性も僅かながら存在する。その可能性に賭けて購入するのも手だが、運用資産の中での購入金額の比率は低めに設定した方が賢明だ。また、その可能性に賭けるぐらいなら、現段階での数字がマシな他のレアルでヘッジしている投信を購入した方が、現在と未来を見据えた資産運用とも言えるだろう。どちらにせよ厳しい投信だ。