3資産バランスオープン『愛称:トリプルインカム』/ 中央三井アセットマネジメント

中央三井アセットマネジメント/3資産バランスオープン『愛称:トリプルインカム』
オススメ度:
2
運用会社:
中央三井アセットマネジメント
商品名:
3資産バランスオープン『愛称:トリプルインカム』
地域/決算:
グローバル / 年12回(毎月分配型)
対象資産:
不動産・債券・株式
基準価額:
5,807円(2012年2月2日付け)
手数料:
2.6%(申込手数料 ※楽天証券) 1.20%(信託報酬)

3資産バランスオープンは分配金利回りも騰落率も並のため手が無い!

この投信は、不動産(リート)と債券と株式の3分法で運用している投信だ。ただし、3分法とはいえ債券が70%と大半を占め、株式が残り20%、リートは10%と、債券に大きく依存している。他社では、単純に3分の1ずつの比率もあるなかで、他社との大きな差といえる。さらには株式は国内株式、リートはJリートと日本への依存度が高い。

また、過去1年を振り返ると、分配金は毎月分配型(年12回)で近々は毎月30円を出している。2009年まで遡ってみても30円の分配金を出しており、今後も何か大事が起きない限りは安泰か。さて、他社との主な相違点・特徴は下記3点。
①財産3分法でも債券への投資比率が高い
②国別の構成では日本の比率が高い
③想定利回りは並で、基準価額の騰落率も悪くないがプラマイゼロ運用かも(後述)

3資産バランスオープン(愛称:トリプルインカム)の基準価額及び純資産の推移チャート

まず基準価額だが、他社よりも緩やかではあるが下落傾向にある。1年の騰落率でも他社比較した中で-3%程度と健闘している。さすがに債券の比率が高いだけのことはあるか。。。分配金再投資は横バイ、緩やかな減少で今後の大きな伸びは期待できなそうなチャートだ。

一方で純資産は減少が止まらず、分配金を出していることもあるが、減少するのは傾向が継続していきそうだ。各資産別に見ると、やはり債券は大きく動かず、株式とリートが足を引っ張っている。特に国内株式が足を引っ張っている。

3資産バランスオープン(愛称:トリプルインカム)の国別比率及び上位構成銘柄

この投信の上位組み入れ銘柄は左図。株式とリートは日本のみで、大半の比率を占める債券は、オーストラリア、カナダ、ノルウェーと安定力のある国が続いている。

パフォーマンス向上の鍵を握る株式とリートだが、株式では、情報・通信、医薬品、電気機器の比率が高い。日本株式全体が1万円を切っている現状、当然といえば当然だが、円高・電気代高騰・欧州などの問題が解決しない限り厳しいか。リートは他社とは大きく異ならないが、前述の図の通りパフォーマンスはイマイチ。。。

J-REITの時価総額の推移等の指標

この投信でも25%を占めるJ-REITの純資産額は上下はあるものの、2007年のピークを機に減少している。2010年からの日銀の買い入れで、純資産は微増しているが、勢いは感じられない。

一方で、利回りは東証株式や国債よりも高く、各国比較でも米国やイギリスよりも高い。米国リートやワールドリートに注目が集まっているが、改めて日本の不動産市場も見直す余地はある。

2011年は、一部の大型物件が販売を停止したこと等から低迷を続けているが、J-REIT自体の物件取得の勢いはあるので、2012年は徐々に指数は上がるかもしれない。また、日銀の買い入れるJ-REITは残り数百億は残っているので、日銀の買い付けを機にした指数上昇も見込める。

次に、基準価額、騰落率、手数料、信託報酬、分配利回り、100万円分を5年運用して解約した際の利益額も比較する。その計算式は下記だが、分配金は2012年現在の金額から変動しないと考える。
「分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額 = 利益額」※信託財産留保額は投信解約時に発生する解約金

そして、基準価額の増減も加味して5年後に100万円の元がとれるか?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の騰落率が、今後の5年間も繰り返すと仮定し、分配金も現状維持だとした場合に、運用していた100万円が5年後に赤字か黒字かを検証した。
計算上での考え方は以下の通り(面倒な方は読み飛ばして頂いて構いません)
「過去1年間の基準価額の騰落率がマイナス5%で、現在の基準価額が10,000円とすると、1年後は9,500円(10,000×95%)、2年後は9,025円(9,500円×95%)、3年後は8,573円・・・・・と基準価額は減少すると仮定する。5年後の減少した基準価額×口数(=目減りした資産)に、5年分の分配金を足すと100万円を超えているか否か?」これを、他社の財産3分法型の投信(純資産ランキングで上位4商品)と比較した。

商品名 日興
財産3分法ファンド
三井住友
グローバル3資産
ファンド
日興
世界の財産3分法
ファンド
野村
世界三資産バランス
ファンド
中央三井
3資産バランス
オープン
基準価額 4,859円 4,755円 4,854円 6,714円 5,807円
騰落率 -9.0% -3.0% -8.0% 0.03% -3.3%
手数料 1.5% 2.1% 1.5% 1.0% 2.6%
信託報酬 0.99% 1.47% 0.99% 1.15% 1.20%
分配利回り 16.3% 7.4% 6.4% 3.3% 5.0%
信託財産
留保額
0.3% 0.25% 0.2% 0.15% 0.3%
5年分の
利益額
796,875円 344,640円 304,328円 154,414円 249,971円
100万で
5年運用
※基準価額増減考慮
1,420,908円 1,203,374円 963,410円 1,155,915円 1,066,507円
財産三分法の投資信託の比較表(日興 財産3分法ファンド(毎月分配型)・三井住友グローバル3資産ファンド・日興 世界の財産3分法ファンド・野村 世界三資産バランスファンド・中央三井 3資産バランスオープン)

上図の通り「中央三井 3資産バランスオープン」の分配利回りは並で、信託報酬も他社よりも高めの数字なのだが、基準価額の騰落率がマイナス3%と健闘しているため、5年の運用ではプラスマイナスゼロ辺りまでは持っていけるかもしれない。ただし、他社と比較すれば、5年運用した場合の予想の運用では劣っている数字だ。上図には無いが、基準価額を考慮しての最終予想利回りは1.3%程度と微妙だ。

最後に結論だが、他社の財産3分法の投信にも当てはまるが、今後のパフォーマンス向上には日本経済次第というところ。ただし、純資産も減少を続け、分配金が減少してもおかしくない状況では、これからの購入は厳しいく、あまりオススメできそうにない。やはり三井住友や日興の財産3分法の方が無難か。。。

現在保有中の人は、保有し続けてもいいが、今後の大きな伸びは期待できないため解約してしまうのも手だ。ただし、安定した動きではあるため、様子見をしながら他投信の情報を収集するのも良いかもしれない。