楽天USリート・トリプルエンジン(レアル)毎月分配型/ 楽天投信投資顧問

楽天USリート・トリプルエンジン(レアル)毎月分配型/楽天投信投資顧問
オススメ度:
1
運用会社:
楽天投信投資顧問
商品名:
楽天USリート・トリプルエンジン(レアル)毎月分配型
地域/決算:
北米 / 年12回(毎月分配型)
対象資産:
不動産投信
基準価額:
3,223円(2017年7月現在)
手数料:
0%(申込手数料 ※楽天証券) 1.40%(信託報酬)

楽天USリート・トリプルエンジン(レアル)は分配利回りは高いがリスク大?

この投信は、米国のオフィスビル・商業施設・住宅などの賃料収入や売却益で収益を出している。さらにブラジル通貨のレアルを組み合わせることで為替益も狙っている投信だ。リート部分はiシェアーズのダウ不動産インデックスに連動しており、概ね米国不動産市場全体の景況に連動する。注意すべきは他社の米国リートとは異なり、対ブラジル・レアルで急激な円高が起こると基準価額の急落を招くという点だ。

楽天USリート・トリプルエンジン(レアル)毎月分配型の基準価額(基準価格)及び純資産の推移チャート

基準価額は他社と異なる動きで、何度も急落に見舞われて現在は小康状態となっている。数年前までは6000円台だったのが今では3000円まで落ち込んでいる。特にレアルが急落した2015年が厳しかったといえる。とはいえ分配金再投資基準価額は一時期の低迷から脱して、今ではピーク前までは戻している。

純資産は同じく2015年に急減している。今ではピーク時から半減しており、かなり売却した個人投資家も多かったことが予想される。人気は一時期からは見る影もないほどになっている。

分配金は一時期は160~200円を出していたが、今では50円に落ち着いている。50円に減配はされているが、その中身は悪くない。基本的に分配金は収益から出ており、かつ翌期繰越分配対象額に将来の分配金として溜め込んでいる。このまま増やしていければ、将来的には再び分配金を増額する可能性も無くはない。

楽天 USリート レアルの上位構成銘柄

この投信の上位組み入れ銘柄だが、他社と異なりリート連動債が大半を占める。冒頭でも述べたが、この投信は米国不動産の全体を示す指数に連動するETFに投資し、さらにドル円やレアル円での為替益を狙っている。

そのため米国不動産の市況が好況か否かに加えて、ドル円とレアル円が円安になるか、さらに日本とブラジルの金利動向(金利差)に大きな影響を受ける。どれか1つが好調でも他が不調であれば伸び悩み、3つが不調であればどん底に落ちることになる。他方で3つとも好調なら爆発的な上昇を見せることになる。

ブラジルの経済情勢と足元の指数

米国のリート・不動産市場は、FRBの低金利政策によりリーマンショック後から堅調に回復してきた。住宅ローン金利は下落し新築着工件数も増加、あわせて賃貸物件も増えて賃料も上昇してきた。しかし、低金利政策は転換しており今後はかつてのような成長は見込めないだろう。

一方で、この投信に大きく影響するブラジル・レアル相場だが、まずブラジル経済の状況を押さえておきたい。2015年と2016年はマイナス成長だったが、今後は緩やかな回復と成長が見込まれている。景気悪化を受けて政策金利は利下げされてきたが、それも落ち着きを取り戻しつつある。資源価格の下落が止まったことも大きいだろう。

ただ、ブラジル経済自体は落ちつきつつあるが、レアルが戻る気配は見えてはいない。かつての対円での40円台は遠く、30円台に定着か政治経済の情勢次第では20円台まで円高があっても不思議ではないチャートだ。再び利上げができる環境が整うか、新興国ブームが再来するか、資源価格の後押しがないことには厳しい状況と言わざるを得ない。

次に、純資産ランキング上位の米国リート型の投資信託と、基準価額・直近1年の騰落率・手数料・信託報酬・信託財産留保額・分配金額(手数料等を差し引いた金額)で比較した。分配金が運用による収益から捻出しているかを確認するため、日経新聞でも度々記載される分配金の健全度・健全率(分配金に占める利子配当収入等の割合)も過去6ヶ月の数字で比較した。さらに、この投信を100万円分だけ購入して3年後の解約時には幾らになるか?を、過去1年間の基準価額の騰落が今後3年繰り返すと仮定してシミュレーションした。最後に過去3年の騰落率と分配金を加味し、予想利回りのレンジと最終予想利回りを算出した。

製品名 フィデリティ
USリート
新光
US-REITオープン
愛称:ゼウス
ダイワ
米国リート・ファンド
ダイワ
US-REIT B
楽天
USリート
レアル
基準価額 4,254円 3,108円 4,182円 3,922円 3,223円
騰落率 -9.02% -11.1% -13.5% -10.5% 2.1%
分配金再投資
騰落率
11.4% 10.1% 11.2% 11.2% 21.0%
手数料 0% 2.0% 3.0% 1.5% 0%
信託報酬 1.4% 1.5% 1.5% 1.5% 1.4%
信託財産
留保額
0.3% 0.1% 0.3% 0% 0.7%
1年間の
分配金額
197,461円 193,050円 286,944円 244,773円 186,162円
分配金の
健全度
26.4% 12.0% 9.6% 10.8% 100%
3年間の
分配金額
547,384円 512,251円 782,232円 673,719円 508,986円
3年後の
100万
※分配金除く
753,074円 700,937円 647,215円 716,677円 1,064,332円
予想利回り 2.3%
(-11%~9%)
-1.0%
(-20%~6%)
-2.2%
(-19%~12%)
0.8%
(-13%~11%)
-6.0%
(-29%~23%)
米国リート型の投信の比較表(フィデリティUSリート・新光US-REIT 愛称ゼウス・ダイワ米国リートファンド・ダイワUS-REIT B・楽天USリート・トリプルエンジン)

上図の通り「楽天USリート・トリプルエンジン・レアル」は、基準価額がプラスで分配金再投資基準価額でも他社を圧倒するバラ色の数字が並んでいる。さらに手数料は証券会社・銀行によっては0%で、信託報酬も他社よりも僅かではあるが安い。ここ1年に限っては、最高に近いパフォーマンスをあげたといえる。さらに分配金の健全度は高金利通貨を絡めているだけあって100%と突出している。

この投信を100万円で3年運用した場合だが、今後も分配金が維持されて為替動向が落ち着けば3年で計50万円の分配金が受け取れ、元手の100万円は106万円に増える計算が成り立つ。この前向き過ぎる数字なら利回りは最高23%となる。しかし、過去3年の実績値で計算すると、利回りはマイナス29%で大赤字になる可能性もある。レアル相場に一喜一憂するハイリスクハイリターンの商品だ。。。

最後に結論だが、複雑な商品で、かつ全ての要素が上手く噛み合う必要があるため基本的にはオススメできない。他社の米国リートがプラスになる中で、この投信だけが下落して苦々しい思いをする可能性も大いにある。全てが好転した上手くいった際の爆発力に期待してもいいが、日本・アメリカ・ブラジルの3カ国が関連するとなると。。。どうしても購入してみたい人も、資産全体の中で数%程度の少額に留めておいた方が賢明だ。