野村 北米REIT投信・レアルコース(北リブ毎)/ 野村アセットマネジメント

野村 北米REIT投信・レアルコース(北リブ毎)
オススメ度:
1
運用会社:
野村アセットマネジメント
商品名:
野村 北米REIT投信・レアルコース(北リブ毎)
地域/決算:
北米 / 年12回(毎月分配)
対象資産:
不動産投信
基準価額:
7,317円(2017年7月現在)
手数料:
3.5%(申込手数料 ※野村証券) 0.88%(信託報酬)

野村 北米REIT投信・レアルコース(北リブ毎)はレアル次第で右往左往?

この投信は、北米(米国・カナダ)のオフィスビル・商業施設・住宅などの不動産へ投資し、その賃料収入や売却益で収益を出している。さらにブラジル通貨のレアルを組み合わせて、為替による利益も狙っている。他の米国リートとは異なりレアル相場で急激な円高が起こると基準価額の急落を招く点に注意が必要だ。

野村 北米REIT投信(レアルコース)・基準価額及び純資産の推移チャート

まず基準価額だが、他社の多くの米国リートとは異なるが、楽天の米国リート(レアル)と似た動きをしている。これはリートそのものよりもレアル相場の影響を大きく受けているためだ。

基準価額は右肩下がりだが、分配金再投資基準価額では2014年のピークを超えているため、3年間我慢をしていれば一応は報われたことにはなる。

その分配金だが、数年前は120円だったが現在では80円に落ち着いている。中身を見ると当期収益から捻出しており、翌期繰越分配対象額も溜め込んで増えている。当面は分配金維持かもしれないが増配の可能性も無くはない。

野村 北米REIT投信・レアルコース(北リブ毎)上位構成銘柄

この投信の上位組み入れ銘柄だが、楽天USリート・レアルのようにETFに投資はせず、個別に投資している(正確にはマザーファンドを通じて)ようだ。この投信は北米という名称が付いてはいるが、実際にはカナダは2%程度で大半は米国へ投資している。

セクター別ではリテールと呼ばれる小売・商業の比率が高く、次いで賃貸住宅・オフィスビル・医療介護施設の比率が高い。他社のように倉庫・データセンターなどのセクターへの投資は控えめになっている。

個別銘柄では物流施設が主のプロロジス、NY・ワシントン・カリフォルニア等の都市圏での高級賃貸を主にしているアバロンベイ、病院などの医療施設が中心のHCPが名を連ねる。他社と比較して特にオリジナリティのある銘柄が上位に組み入れられてはいない。

ブラジルの経済情勢と足元の指数

米国のリート・不動産市場は、着実に回復・成長してきたが、アメリカは低金利政策から脱却して金融正常化に動いている。今後は金利上昇によって借入金利の上昇などの逆風に曝される可能性がある。

一方で、この投信に大きく影響するブラジル・レアル相場だが、ブラジル経済は2015~2016年からの回復が見込まれている。ただ、ブラジルの根幹を支える資源価格の急落や汚職などの政治不安による景気停滞などの可能性があるため予断は許されない状況にある。

そのためか対円でレアルが再び昔の水準にまで戻る気配は見えて来ない。政策金利も最もレアル高円安だった際の15%近くから現在は10%程度に留まっており、かつての栄光は取り戻せていない。再び円安基調になるまでは厳しい状況が続きそうだ。

次に、純資産ランキング上位の米国リート型の投資信託と、基準価額・直近1年の騰落率・手数料・信託報酬・信託財産留保額・分配金額(手数料等を差し引いた金額)で比較した。分配金が運用による収益から捻出しているかを確認するため、日経新聞でも度々記載される分配金の健全度・健全率(分配金に占める利子配当収入等の割合)も過去6ヶ月の数字で比較した。さらに、この投信を100万円分だけ購入して3年後の解約時には幾らになるか?を、過去1年間の基準価額の騰落が今後3年繰り返すと仮定してシミュレーションした。最後に過去3年の騰落率と分配金を加味し、予想利回りのレンジと最終予想利回りを算出した。

製品名 フィデリティ
USリート
新光
US-REITオープン
愛称:ゼウス
ダイワ
米国リート・ファンド
ダイワ
US-REIT B
野村
北米リート
レアル
基準価額 4,254円 3,108円 4,182円 3,922円 7,317円
騰落率 -9.02% -11.1% -13.5% -10.5% 1.5%
分配金再投資
騰落率
11.4% 10.1% 11.2% 11.2% 15.3%
手数料 0% 2.0% 3.0% 1.5% 3.5%
信託報酬 1.4% 1.5% 1.5% 1.5% 0.8%
信託財産
留保額
0.3% 0.1% 0.3% 0% 0.5%
1年間の
分配金額
197,461円 193,050円 286,944円 244,773円 131,201円
分配金の
健全度
26.4% 12.0% 9.6% 10.8% 100%
3年間の
分配金額
547,384円 512,251円 782,232円 673,719円 327,204円
3年後の
100万
※分配金除く
753,074円 700,937円 647,215円 716,677円 1,047,534円
予想利回り 2.3%
(-11%~9%)
-1.0%
(-20%~6%)
-2.2%
(-19%~12%)
0.8%
(-13%~11%)
-5.0%
(-25%~16%)
米国リート型の投信の比較表(フィデリティUSリート・新光US-REIT 愛称ゼウス・ダイワ米国リートファンド・ダイワUS-REIT B・野村 北米REIT投信(レアルコース))

上図の通り「野村 北米REIT投信(レアルコース)」は、直近は基準価額がプラスなうえに分配金再投資基準価額でも大幅プラスになっている。ただ、あくまで直近1年の数字であり、それよりも数年前から保有している人の中には赤字になっている人もいる。諸経費面で見ると、手数料こそ3.5%と高めだが信託報酬は他社よりも安い。分配金の健全度は他社を圧倒する100%で、レアルの効果が大きく出ている。

この投信を100万円で3年運用した場合だが、今後も分配金が維持されて為替動向が落ち着けば3年で約30万円の分配金が受け取れ、元手の100万円は104万円に増える計算が成り立つ。この前向き過ぎる数字なら利回りは最高16%となるが、直近は上手くいっているだけで、今後も為替が落ち着く可能性は低いだろう。そのため過去3年の実績値で計算した利回りであるマイナス25%、という数字になる可能性も頭に入れておいた方が賢明だ。

最後に結論だが、近々は上手く回っているが、この投信はオススメできそうにない。分配金の中身などを考えると悪くはないのがだが、いかんせんレアル相場が安定するか円安傾向に入って来ない事には不安感の方が大きい。もちろん上手くいった時のリターンも大きいが、マイナスも相当なものになる可能性を秘めている。どうしても購入・保有したい人でも、全体の資産の数%に留めておいた方がいい。