投信・預金/資産運用 解説・用語集

ポートフォリオ投資は万能ではなく最適化しても無駄?

ポートフォリオとは、預貯金・投信・株式・債券・不動産等の複数の資産の組み合わせを意味する。ポートフォリオを用いた運用は、分散投資によるリスク低減(リスク分散)を目的としている。また、その配分比率をアセットアロケーションという。

ポートフォリオの分散投資の考え方は、日本では古くから財産三分法(預金・不動産・有価証券)という名称で、同様の発想で資産運用が行われてきた。また、ポートフォリオが定着している海外では「1つのカゴに全ての卵を盛るな」という相場格言として知られている。資産運用に際しては安全性・流動性・収益性が重要だが、現実的には3つの要素を完璧に満たす資産は存在しない。

財産三分法の中の3つを例にとると、まず預金はペイオフはあれど預金保険制度があり現金の移動も容易なため、安全性と流動性は問題ない。しかし、定期預金などで僅かに金利は付くが収益性は乏しい。不動産は家賃収入などで収益性はあるが、売買には買い手を探す必要があり、土地価格の変動や天災による損壊などを考えれば、流動性・安全性に疑問が残る。有価証券は配当・値上がり益等が期待でき、株式市場などの市場を利用をできるため、流動性・収益性はあるが、投資している企業の倒産などで株式・債券(社債)は無価値になる可能性があるため安全性で疑問が残る。そのため、トータルで3つの特性を満たすための発想として、一般的にポートフォリオが利用される。そして、その分散投資により予想外の事態に備える、というのがポートフォリオの原点となる。

実際、株安場面では債券高、債券安で株高、インフレで不動産高と、平時においては如何なる場面でもプラスマイナスゼロか、プラスに傾く可能性がある。しかし、古くはブラックマンデー、比較的最近ではサブプライム問題からのリーマンショックなどの特異な状況では、株安・債券安・不動産安で預金がベストというキャッシュキング(Cash is King)の状態が起こることもある。

ポートフォリオの発想では、それでも預貯金があるだけ有利といえるが、それまでに得た利益が暴落による損失で全てを失う可能性もある。そう考えると、始めから投資などしない方が有利ともいえる。そのためポートフォリオ運用を鵜呑みにして資産を固定せず、一定程度は流動的に資産を動かす必要がある。また、時には預貯金のみに戻すという発想も必要といえる。