投信・預金/資産運用 解説・用語集

通貨選択型ファンドの仕組みと収益源とは!?

通貨選択型ファンドは、投資対象との為替リスクを回避する目的ではなく、別の高金利通貨で為替ヘッジをする投資信託を意味する。具体的には「~投信 米国株式 レアルコース」「~投信 米国リート 豪ドル」といった名称のものが多く、2カ国以上の国名が名称に上っている投信が該当する可能性が高い。

通常の為替ヘッジは、円で米国株式に投資した場合には株価の上下もさることながら為替の影響を受ける(円安で上昇・円高で下落)ため、その影響を低減させるために行われる。しかし、通貨選択型ファンドの場合には、高金利通貨(ブラジルレアル・オーストラリアドル・南アフリカランド)で為替ヘッジ(クロスヘッジ取引)をすることで、円を本来の通貨との為替リスクではなく、他通貨との為替リスクに転換している。

例えば、米国株式に投資する場合、個人投資家は円を使って投信を購入するため、通常は円→米ドルの流れになる。これが通貨選択型ファンドでは、円→レアル→米ドルの流れになるイメージだ。

なぜ、このような複雑な取引をするかというと、投資対象(株式・公社債など)からの収益に加えて、為替ヘッジのプレミアム(通貨ごとの金利差による収益)と為替差益の3つのリターンが得られる可能性があるためだ。通常の海外に投資する投信よりも為替からの収益が大きく期待できる。しかし、高金利なのは、未だ発展途上であり政治・経済が不安定なためだ。そのため値動きが比較的安定している先進国の通貨よりも、高金利通貨の値動きは荒く、容易に円に対して下落(円高)になる可能性がある。つまりは高金利通貨で為替ヘッジすることは、為替で大きく損失を被る危険性を内包している。

個人投資家としては、たとえ公社債に投資する投信であっても、高金利通貨でヘッジした投信には、最高クラスのハイリスクがあると考えて警戒すべきだ。分配金が出ているかといって安心せず、個人としても為替動向には注意を払っておく必要があろう。