投信・預金/資産運用 解説・用語集

効率的市場仮説に乗ってみるのも手か!?

効率的市場仮説とは、あらゆる情報が瞬時に共有・浸透して価格に反映される市場においては、市場平均よりも高い収益を得られないという考え方をを意味する。正確には、そういった市場(効率的市場)が現実に存在しているはずだという仮説である。これに倣えばインデックス型投信ETFが最も優れていることになる。これに対して、市場平均に真っ向から立ち向かうのがアクティブ運用となる。

誤解されがちだが、効率的市場仮説は、どんな市場においても市場平均に勝る収益を得られないと説いているわけではない。効率的市場は、効率性に応じてウィークフォーム・セミストロングフォーム・ストロングフォームの3段階に別れている。ウィークフォームは過去分析やチャート分析などでは市場平均以上を超えられないレベル、セミストロングフォームは利用可能な公開情報を使っても超えられないレベル、ストロングフォームは未公開情報を使っても超えられないレベルとなる。ストロングフォームでは、未公開のインサイダー情報を利用しても市場平均以上の収益を得られないことになる。

仮説によればストロングフォームでなければ、市場平均を上回る収益は獲得できることになる。しかし、現在の市場・相場環境は限りなくセミストロングに近い状況にある。流れてくる情報は即座にコンピュータが判断しインターネットを通じて、コンマ何秒の高速取引で売買の注文をしてしまうためだ。

例えば、米国株式市場を主戦場とするヘッジファンドは、決算ニュースが流れると「何%」の「増益 or 減益」というワードのみをコンピュータが解析して、%に応じて瞬時に売買を発注する。ニュースをコンピュータが解析・判断するということに疑問を持つかもしれないが、ロイター等のニュース会社は、契約したファンドに対して、コンピュータが解析しやすい体裁でニュース配信しているため可能なのだ。もちろん、人力でもニュースが出た瞬間に売買することは可能だが、ほぼ同時に複数の売買はできず太刀打ちはできない。そのため、現在の市場は限りなくセミストロングの効率的市場だと考えて差し支えない。

実際、2012年の日本の株式市場は一定の値幅を行き来する相場であったが、アクティブ型ファンドの平均リターンに対して、年始から日経平均連動投信を持ち続けた場合の方がパフォーマンスは良好だった。もちろん、市場平均を上回る収益を上げたファンドもあっただろう。

しかし、個人投資家は星の数ほどある投信の中から、市場平均を上回りそうな投信を探し出す必要があるため、大人しく市場平均に連動する投信を購入した方が労力も少なくて済む。さらに投信を探し出しても、過去のパフォーマンスでは市場平均を超えたが、今年も越えるという保証もない。そう考えれば、時間と労力があるならアクティブ型ファンドでも良いが、そうでないなら指数に連動するインデックス投信を購入するという選択肢はありだ。