ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月決算型)為替ヘッジなしコース/ ピクテ投信投資顧問

ピクテ投信投資顧問/ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月決算型)為替ヘッジなしコース
オススメ度:
3
運用会社:
ピクテ投信投資顧問
商品名:
ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月決算型)為替ヘッジなしコース
地域/決算:
日本 / 毎月分配型(年12回)
対象資産:
株式
基準価額:
12,114円(2013年3月7日付け)
手数料:
3.0%(申込手数料 ※浜銀TT証券) 1.90%(信託報酬)

ピクテ・バイオ医薬品ファンドは拡大するバイオ医薬品市場は魅力的だ!

この投信は、世界中のバイオ医薬品に関連する企業の株式に投資し、その売買益や配当を収益に分配金を出す投信だ。バイオ医薬品とは、生物の構成成分やタンパク質・酵素の合成等により新たな効果を持つ成分を創り出して用いる新しい医薬品だ。今までの医薬品では治療が困難だった病気や、投薬による副作用が強かった病気に対しても効果的な新薬が出ている。昨今の日本の株式市場がバイオ関連株で賑わっているように、世界的にもバイオ医薬品に対する注目は日々高まっている。さて、分配金だが、直近1年では毎月130円を出している。2011年9月の分配開始以来、130円から減配はされていない。

ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月決算型)為替ヘッジなしコースの基準価額(基準価格)及び純資産の推移チャート

まず基準価額だが、投信が設定されスタートしたのが2004年と、他投信よりも比較的歴史が長い。2004年から2013年現在までサブプライムローン問題からリーマンショック、欧州債務問題と諸々の景気後退局面があったが、設定時の1万円を割ったのが2回と優秀といえなくもない。リーマン前に購入した人は含み損があるだろうが。。。分配金を出し始めたのは2011年からだが、そこからの上昇の流れも悪くはない。累積投資額(分配込みの基準価額)でも14,000円台に乗せており、仮にピーク時の18,000円時に購入したとしても、かなり損は縮小されているはずだ。

純資産は2012年春から急増している。2012年秋からの一段の増加は山中教授のノーベル賞受賞により、バイオに関する国内の注目度が増加したのもあるかもしれない。現在は落ち着いている。

ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月決算型)為替ヘッジなしコースの上位構成銘柄及び国別・業種比率

次に投信を構成するバイオ製薬企業の株式だが、国別では米国が85%と大半を占め、僅かな残りをイギリス・スペイン・オランダ等の欧州各国が占めている。日本企業は含まれていない。米国全体の医療費は世界トップとすれば当然の比率か。

個別銘柄でトップの投資比率は「Biogen Idec(バイオジェン・アイデック)」で、特に神経疾患やガン向けのバイオ医薬品に強みを持つ。日本のバイオ医薬品の企業と異なり約1,000億円超の収益を出しており業績も良好だ。株価も2011年から2013年までで約3倍に膨れ上がっている。この投信にも基準価額等にプラスに働いているはずだ。次ぐ2番手は「Gilead Sciences(ギリアド・サイエンシズ)」で、同社はエイズ・肝炎・呼吸器不全向けの抗ウィルス剤に強みを持つ。こちらは2009年のピーク時の半値以下まで落ち込んでからの回復途上にある。日本同様に浮き沈みがあるということか。

米国の医療市場(関連支出・米国人の寿命及び疾病率)

米国の医療市場の見通しだが、まず米国の医療市場の規模を確認したい。左図の左上の棒グラフの通り、米国の1人当たりの医療費は世界トップだ。さらに、2012年にオバマ大統領が再選し「オバマ・ケア」と呼ばれる国民皆保険が成立する可能性が高く、これで今まで通院できなかった低所得者層が医療費を押し上げる公算も立つ。また、注目したいのがアメリカで着々と進む高齢化だ。日本ほどではないが、移民により人口増を果たしている米国といえど世界的な高齢化の波には逆らえない。高齢化により医療費が増大するのは自明の理といえ、これも市場拡大の要因となる。

それでは米国人を悩ませる病気とは何か。一番大きいのが肥満・糖尿病を元にした心臓疾患で、10万人あたりの患者は世界の平均値を上回り、日本の3倍となっている。逆に日本人を悩ませるガンによる死亡率は米国と日本は同等レベルだ。肥満・糖尿病に関する医薬品市場の拡大は今後も期待できそうだ。

次に、他社の業種限定の海外株式型の投資信託(純資産ランキングで上位)と、基準価額・手数料・利益(利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額)分配利回り等を比較した。また、分配金のうち実際にファンドの収益が何%あるかも投信の健全性として比較した。さらに基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。計算上は「前年比で基準価額がマイナス5%なら、1~3年後も5%ずつ減額すると仮定し、3年分の分配金を足すと元金100万円はプラスか?」※増減率は基準価額が1年前から何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。信託財産留保額は投信を解約時に発生する0.5%の費用

商品名 野村
高配当インフラ株
通貨セレクト
日興
資源ファンド
レアル
日興
資源ファンド
ランド
DIAM
米国住宅株
1209
ピクテ
バイオ医薬品
ヘッジなし
基準価額 12,090円 5,814円 5,269円 11,165円 12,114円
増減率 +20.9% -24.5% -31.8% +11.7% +18.6%
手数料 4.0% 3.0% 3.0% 4.0% 3.0%
信託報酬 0.88% 1.00% 1.00% 1.50% 1.90%
分配利回り 9.0% 23.8% 26.3% -1.5% 11.0%
3年分の
分配利益額
226,367円 683,034円 759,890円 -90,000円 299,330円
分配金と収益
比率
\100=?
(?%)
\120=\120
(100%)
\120=\120
(100%)
- \130>\35
(26%)
100万で3年運用
※基準価額
増減考慮
1,993,539円 1,113,682円 1,077,697円 1,301,798円 1,966,654円
最終予想
利回り
25.8% 3.6% 2.5% 9.1% 25.2%
海外株式型の特定セクターファンドの比較表(野村高配当インフラ関連株(通貨セレクト)・日興 資源ファンドレアル・日興 資源ファンド ランド・DIAM米国住宅株1209・ピクテ バイオ医薬品ヘッジなし)

上図で「ピクテ・バイオ医薬品ファンド」を比較したが、まず基準価額が1年前の2012年3月の10,216円から18%も上昇しているのは評価できる。これには2012年11月からの円安も寄与している部分が大きいだろうが、そもそもNYダウ・ナスダック等の株価指数が上昇しているように、米国の株式相場が堅調であったのも大きなプラス要因になっている。基準価額がプラスに転じていることから、分配利回りが低いかと思いきや11%と健闘している。他社投信のように基準価額を大きく削って分配金には回していないようにも見える。しかし、運用報告書を見ると毎月の130円の分配金は、毎月のファンドの収益から100%出している月と、原資を削って分配金を出している月だがある。それを平均すると26%にしかならず、130円の分配金のうち、74%は原資(資産)を削って赤字で分配金を出していることになる。投信の健全さではイマイチといえる。

また、外国株式、それもバイオ医薬品に限定した企業の選別となると手間を要するのは分かるが手数料が3%で信託報酬が1.9%と高額だ。以上の数字を計算すると最終予想利回りは25%と非常に優秀な数字になった。ただし、これは2012年後半の円安効果で来年も同等のパフォーマンス維持は厳しいはずだ。よくて10~15%が妥当で、市場環境次第ではプラマイゼロかマイナスもありえる。

結論としては、小額投資で爆発力に賭けて購入するなら悪くなさそうだ。投資している市場が拡大傾向で、今後も伸びるジャンルというのが良い。さらにチャートを見ると2004年からの運用で、1万円を割っても回復してくるのも好感できる。2013年以降も20%以上の円安が進むかは大いに疑問で、株式に投資する投信のため不安定さは否めないが、一興として購入してみる価値はありそうだ。