ニッセイ次世代医療ファンド/ ニッセイアセットマネジメント

野村アセットマネジメント/ニッセイ次世代医療ファンド
オススメ度:
2
運用会社:
ニッセイアセットマネジメント
商品名:
ニッセイ次世代医療ファンド
地域/決算:
日本 / 年2回
対象資産:
株式
基準価額:
13,639円(2013年3月7日付け)
手数料:
3.0%(申込手数料 ※大和証券) 1.67%(信託報酬)

ニッセイ次世代医療ファンドは小額投資なら購入も一興かもしれないが!?

この投信は、世界各国の医療関連企業の株式に投資し、その売買益や配当を得て分配金を出している。医療に関連する企業とは、病院・リハビリセンターを経営する医療サービス、検査機器・消耗品を製造販売する医療機器メーカー、ジェネリック・漢方も含めた医薬品会社をいい、これらを投資対象としている。分配金は年2回の決算時に出されるのだが、2012年3月・9月は0円であった。そもそも2011年の3月に設定されスタートした投信なのだが設定来、分配金は出されていない。

ニッセイ次世代医療ファンドの基準価額(基準価格)及び純資産の推移チャート

まず基準価額だが、さすがに医療関連企業の株式に投資しているとはいえ、欧州債務問題・中国と米国の景気後退等の景気後退局面においては基準価額は下落している。しかし、2012年後半からの円安効果とNYの株高で大きく上昇している。ただ、果たして今後も、同様のパフォーマンスを維持できるかは大いに疑問が残る状況でもある。

純資産は微減が続いており、止まる気配が見られない。同様に医療に投資するピクテ医薬品ファンドとは異なる動きだ。歴史が浅い投信だが、もはや個人投資家からは見捨てられたか、販売会社の大和証券が売る気が無いのか。。。

ニッセイ次世代医療ファンドの上位構成銘柄及び業種比率

この投信が組み入れている株式だが、国別では米国が25%でトップ、次いで日本・デンマーク・ドイツなどが続く。さすがに医療大国のアメリカへの投資比率は高いが、以前の投資比率35%よりは低めになっている。医療関連の中でも細かい業種別に分けると、新薬開発・ジェネリック医薬品といった創薬への投資比率も高いが、病院・診療所経営で他国からの医療旅行者も受け入れる「医療ツーリズム」にも相応に投資しているようだ。

個別銘柄のトップは「Kalbe Farma(カルベ・ファルマ)」というインドネシアを拠点とする医薬品メーカーだ。インドネシアの株式市場は成長途上だが時価総額でもトップ20に入る規模を誇り、同国では大手企業といえる。医薬品の他に健康食品・動物向けの医薬品も製造販売している。株価は2008年の80ルピアから2013年現在は1,300ルピアと16倍にまで恐ろしい規模で膨らんでいる。この投信のパフォーマンスにも大きくプラスに働いているだろう。

米国の医療市場(関連支出・米国人の寿命及び疾病率)

この投信が投資する国別でトップの米国の医療市場規模だが、米国1人当たりの医療費は世界トップだ。日本人が使用する2.5倍の額を医療に費やしている。また、先進国で着々と進む高齢化はアメリカも例外ではなく、1990年から2010年までで65歳以上の人口は1.5倍に増加しており、さらに現在から2050年で2倍の7千万人に増加する見通しだ。高齢になれば医療費が増大するのは当然の成り行きのため、これも市場拡大の要因となる。

また、特に米国人の肥満率は日本とは比較にならない。肥満・糖尿病を起因とした病(心臓病・高血圧等)が米国人の体を蝕んでおり、同病向けの医薬品には特に伸びが期待できる。

次に、他社の業種限定の海外株式型の投資信託(純資産ランキングで上位)と、基準価額・手数料・利益(利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額)分配利回り等を比較した。また、分配金のうち実際にファンドの収益が何%あるかも投信の健全性として比較した。さらに基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。計算上は「前年比で基準価額がマイナス5%なら、1~3年後も5%ずつ減額すると仮定し、3年分の分配金を足すと元金100万円はプラスか?」※増減率は基準価額が1年前から何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。信託財産留保額は投信を解約時に発生する0.5%の費用

商品名 野村
高配当インフラ株
通貨セレクト
日興
資源ファンド
レアル
DIAM
米国住宅株
1209
ピクテ
バイオ医薬品
ヘッジなし
ニッセイ
次世代医療
ファンド
基準価額 12,090円 5,814円 11,165円 12,114円 13,639円
増減率 +20.9% -24.5% +11.7% +18.6% +35.3%
手数料 4.0% 3.0% 4.0% 3.0% 3.0%
信託報酬 0.88% 1.00% 1.50% 1.90% 1.67%
分配利回り 9.0% 23.8% -1.5% 11.0% -1.7%
3年分の
分配利益額
226,367円 683,034円 -90,000円 299,330円 -80,100円
分配金と収益
比率
\100=?
(?%)
\120=\120
(100%)
- \130>\35
(26%)
-
100万で3年運用
※基準価額
増減考慮
1,993,539円 1,113,682円 1,301,798円 1,966,654円 2,397,128円
最終予想
利回り
25.8% 3.6% 9.1% 25.2% 33.8%
海外株式型の特定セクターファンドの比較表(野村高配当インフラ関連株(通貨セレクト)・日興 資源ファンドレアル・日興 資源ファンド ランド・ニッセイ次世代医療ファンド・ピクテ バイオ医薬品ヘッジなし)

上図で「ニッセイ次世代医療ファンド」を比較したが、特筆すべきは基準価額の上昇幅だ。1年前のスタート時の1万円から現在の13,000円少々まで35%も上昇している。これは他社のセクター型の投信と比較してもトップの上昇率だ。ただし、年2回の決算による分配金は出ておらず、分配金による利益の上積みは存在しない。その他の諸経費を見ると、手数料が3%で信託報酬が1.6%で決して安価ではない。手数料3%は上図では平均的な数値にも見えるが、手数料を無料としている投信も多い中では高額と言わざるを得ない。以上の基準価額の上昇と分配金から諸経費を差し引いて算出した最終予想利回りは33%という驚異の数値となった。設定から1年は上々過ぎる滑り出しだが、今後も同等のパフォーマンスが維持できるかは疑問だ。前述の基準価額チャートで一時期は20%下落した点から、想定利回りは10%程度が妥当ではないか。

最後に結論だが、一興として小額投資するなら投資妙味はあるかもしれない。特に今後の市場が確実に拡大していくのが明白な点が良い。ただし、インドネシアの医薬品メーカーに投資しているあたり新興国リスクも孕んでおり、下落リスクも相当にあると考えるべきだろう。また、株式に投資する以上は、市場環境・企業業績ではなく株式相場全体の動きに左右されて大きく下落することもあり、為替相場の動向次第で円高が進めば2011-2012年のような利益は見込みにくい。さらに純資産が減少しておりファンドが思った通りの運用ができない危険性もある。他の投信をガチガチ安定したもので固めているなら、可能性を買う意味で小銭も小銭で購入してみる程度で考えるといいだろう。