スイスフラン/ 外貨普通預金の金利・為替コスト(手数料)・変動率比較

スイス国旗
オススメ度:
2
通貨名:
スイスフラン(SFr.)
国名:
スイス連邦
金利:
0.01% ※住信SBIネット銀行
手数料:
1円あたり0.4円 ※住信SBIネット銀行
現在値:
90.5円(2012年3月20日時点)
最高値:
108.7円 ※過去5年の最高値

スイスフランでの外貨普通預金は超安定志向の外貨預金を組みたいなら!

スイスフランは主にスイスで流通している通貨ではあるが、スイスの隣国であるリヒテンシュタインでも利用されている。ユーロ圏にあるが、ユーロは導入せずに自国通貨を保持し続けており、円と同様に不況時に強く安定した通貨と言われている。過去20年のスイスフラン/円の動きを見ると、その変動幅については他国よりも限定的だが、他国通貨と同様に世界的な景気動向によって上下はしている。一方で、スイスフラン/USドルで見ると2000年から長期的なフラン高/USドル安の傾向が続いている。

スイスフラン・円の為替チャート

さて、左図上グラフの10年スパンで見ると分かるが、安定通貨とは言われているが、2008年のサブプライム問題や2011年の欧州債務問題が噴出した時期には激しく動いている。特に欧州債務の際には大きくスイスフラン安に動いたが、スイス中銀の無制限の為替介入などにより、一気にほぼ基準値である90円前後に戻った。

最近1年では前述の通り、激しい上下をしているが現在は90円台で平静を取り戻しつつある。現在のリスクオンの市場の動きから、長期的には円安トレンドになるという見方のアナリストも多い。ここからどこまでスイスフラン高/円安に動くかだが、チャートだけ見ると90円台中盤~後半の期間が長いため、世界的な好景気にならなければ、その付近で収まる可能性が高かろう。

ヨーロッパ・ユーロ圏の各種経済指標(小売売上・失業率など)

スイス経済の状況だが、左図右グラフの通り同じ通貨高に苦しむ日本とは対照的に、堅調にGDPを伸ばしている。これは売上シェアで医薬品や時計や精密機器が高く、これらを価格競争に巻き込まれない形で輸出していることがGDPの伸びを牽引していると考えられる。

左下グラフでも、その営業利益率の高く、食品会社を例にとっても為替変動を吸収できる成長をしている。面積だけで考えれば小国ではあるが、経済力は極めて高いと言っていい。

足元のスイス国民の経済状況も悪くなく、失業率は3%前後と低く、さらに失業者の大半は失業後1年以内に再就職を果たすという。1人あたりのGDPもアメリカや日本を大きく離して世界第4位という地位は、さすがとしか言いようがない。

次に、スイスフランで外貨普通預金を始めるにあたり、各銀行の金利と手数料を比較した。金利が高くとも為替コスト(手数料)が高額であれば、実際に手元に入る利益は減額されるため、金利から手数料を差し引いた金額を計算した。この場合、為替の上下(為替益)と税金は考えないものとし、預け入れ時の金額は100万円で1年間の運用で計算した。また、便宜上、90円=1スイスフランから変動しないものとして計算し、特殊なキャンペーン金利などは無視することとした。
預け入れ時:100万 ÷(90円+手数料)=預け入れ時のスイスフラン
払い戻し時:預け入れ時のスイスフラン ÷(90円+手数料)=払い戻し時の円
利息:預け入れ時のスイスフラン × 金利 × 1年

外貨預金の銀行毎の金利・手数料・利息・手数料と利息の差(住信SBI・楽天銀行・ソニー銀行・スルガフィン工・新生銀行・三井住友銀行・三菱東京UFJ銀行)

スイスフランを取り扱っている銀行は少なく(FX業者は別だろうが)、数少ないが上図の通り、各銀行でスイスフランで外貨普通預金を組んだ場合を比較すると、金利は横並びだが、若干だが住信SBI銀行が安い。結果的に、100万円で1年運用した場合には、手数料は最大10,000円程の差額が発生する。これから運用するなら住信SBI銀行で決まりだろう。

次に、住信SBIでスイスフランで外貨普通預金を組むとして、他国の通貨での外貨普通預金を組んだ場合の金利や1外貨あたりの手数料、近1年・近5年の為替レンジ、変動率(どの程度の比率で為替が変動したか? ※パーセンテージが低いほど変動しても相対的な差は狭い)、為替が変動しなかった場合の100万円を1年運用した場合の損益を比較した。計算上の為替レートは2012年3月時点の数字を採用した。

外貨預金の通貨毎の金利・手数料・レンジ・最大変動幅・変動率・運用例(米ドル・豪ドル・ユーロ・NZドル・英ポンド・スイスフラン・南アフリカランド)

スイスフランでの外貨普通預金は為替が変動しない場合、他国通貨と比較すると下の上といったところ。手数料と金利の低さがネックになり、大きな利益は期待できそうにない。しかし、変動率を見ると抜群の安定感があり、金利を狙わずに安全資産としての価値は高いだろう。ちなみに、近々5年でスイスフラン高円安の最高値をつけたのは2008年12月のリーマン後の75.6円、逆にスイスフラン安円高は2011年8月の欧州債務問題時の108.7円となっている。

結論としては、ありきたりだがスイスフランでの外貨預金は、安全資産として組むにはオススメできる。安定した変動率が何より心強い。

為替差益は、大きくは狙えないないだろうが、チャートだけ見ると5~10円未満は長期で考えれば得られそうな雰囲気ではある。スイス国内の経済状況も良好なため期待はできそうだ。スイス企業の収益を圧迫している為替要因もスイス中銀が上値を抑えることを確約しているため、思い切ったM&Aのような経営判断もしやすい状況だ。ただし、欧州向けの輸出も多いことは事実で、再びEU各国の経済情勢が悪化するようであれば、さすがに厳しい状況になる可能性はある。他国通貨よりも明らかに低めのリスクではあるが、一応は念頭に置いてスイスフランで外貨預金を組む必要があるだろう。