南アフリカ・ランド/ 外貨普通預金の金利・為替コスト(手数料)・変動率比較

南アフリカ共和国・国旗
オススメ度:
2
通貨名:
南アフリカ・ランド(ZAR)
国名:
南アフリカ共和国
金利:
2.67% ※住信SBIネット銀行
手数料:
1円あたり0.25円 ※住信SBIネット銀行
現在値:
10.9円(2012年3月20日時点)
最高値:
17.7円 ※過去5年の最高値

南アフリカ・ランドでの外貨普通預金はリスク覚悟で2年間我慢できれば?

南アフリカ・ランドは南アフリカで流通している通貨で、同じアフリカ大陸スワジランド・ナミビアなどでも流通しており、アフリカにありがちな自国通貨のインフレ(ジンバブエの100兆ドル紙幣の発行など)を回避すべく、アフリカ最大の経済大国である南アフリカの通貨を採用しているのだろう。過去20年のランド/円の動きを見ると、一方的にランド安/円高の傾向が続いている。驚くべきは下げ幅で、1990年には1円=55ランドだったにも関わらず、2008年には7.6円まで進んでいる。一方で、ランド/USドルで見ると2007-2008年程度の水準まで戻っている。単純な円高トレンドともとれるが・・・

スイスフラン・円の為替チャート

さて、左図上グラフの10年スパンで見ると分かるが、2002年からランド高に動いたが、他国通貨に漏れず2008年のサブプライム問題で大きく円高に動き徐々に回復したが、2011年の欧州債務問題が噴出して再び円高になり、現在は何とか2002年時の水準まで何とか回復したところだ。サブプライム時と同様に回復すれば、1円=12円~13円までは回復しそうだが。。。

最近4年では、ランド安の状態が続いている。欧州が落ち着いてきた直近数ヶ月では反発し始めたが、ここから12円まで上げられるかどうか?
2010年のサッカーW杯が終わった後も12円台をキープしていたことを考えれば、12円に戻る可能性は十分にありそうだ。

ヨーロッパ・ユーロ圏の各種経済指標(小売売上・失業率など)

南アフリカの経済の状況だが、GDPは大きく伸びているわけではないが、堅調に伸びている。一方で小売売上高は上昇トレンドにあり、個人消費が経済を引っ張っている一因でもありそうだ。これは賃金上昇や失業率改善が、サイフの紐を緩めているためだ。ただし、失業率自体は2011年10-12月期の発表でも23%という数字で、数字自体は非常に高いことは忘れないでおきたい。

また、賃金が上昇しているため、建設許可件数で住宅が好調な数字だ。国内企業も新規受注は増加傾向にあり景況感も改善している。やはり大幅な成長は無いかもしれないが、今後も堅調な成長が続くと見てよさそうな経済状況ではある。

次に、南アフリカ・ランドで外貨普通預金を始めるにあたり、各銀行の金利と手数料を比較した。金利が高くとも為替コスト(手数料)が高額であれば、実際に手元に入る利益は減額されるため、金利から手数料を差し引いた金額を計算した。この場合、為替の上下(為替益)と税金は考えないものとし、預け入れ時の金額は100万円で1年間の運用で計算した。また、便宜上、10円=1ランドから変動しないものとして計算し、特殊なキャンペーン金利などは無視することとした。
預け入れ時:100万 ÷(10円+手数料)=預け入れ時のランド
払い戻し時:預け入れ時のランド ÷(10円+手数料)=払い戻し時の円
利息:預け入れ時のランド × 金利 × 1年

外貨預金の銀行毎の金利・手数料・利息・手数料と利息の差(住信SBI・楽天銀行・ソニー銀行・スルガフィン工・新生銀行・三井住友銀行・三菱東京UFJ銀行)

南アフリカ・ランドを取り扱っている銀行は少ないが(FX業者は別だが)、上図の通り、各銀行でランドで外貨普通預金を組んだ場合を比較すると、金利・手数料共に住信SBI銀行が優秀だ。100万円で1年運用した場合、手数料は最大10,000円程の差額が発生する。これから運用するなら住信SBI銀行で決まりだろう。

次に、住信SBIでランドで外貨普通預金を組むとして、他国の通貨での外貨普通預金を組んだ場合の金利や1外貨あたりの手数料、近1年・近5年の為替レンジ、変動率(どの程度の比率で為替が変動したか? ※パーセンテージが低いほど変動しても相対的な差は狭い)、為替が変動しなかった場合の100万円を1年運用した場合の損益を比較した。計算上の為替レートは2012年3月時点の数字を採用した。

外貨預金の通貨毎の金利・手数料・レンジ・最大変動幅・変動率・運用例(米ドル・豪ドル・ユーロ・NZドル・英ポンド・スイスフラン・南アフリカランド)

ランドでの外貨普通預金は為替が変動しない場合、他国通貨と比較すると1年の運用ではワーストだ。ただし、他国通貨よりも圧倒的に金利が高く、為替差益が伸びなくても2年運用できれば、手数料分のマイナスは回収できる計算だ。さらに為替差益が入れば利益は大きくなる。もちろん、逆に為替差益で手数料分を取り戻してもマイナスになる可能性はあるが。ただし、金利が高いことを考えれば当然だが、変動率を見ると132%と他国を圧倒する変動があり、まったく安心はできない通貨だ。仮に直近5年で最もランド高の12.8円の際に購入して、最もランド安の7.6円の際に換金すると、預け入れ時の約半分程度の金額に減ってしまう計算だ。これもまた、逆もありうるが。。。

結論としては、相応のリスク覚悟で利益狙いであればランドでの外貨預金はオススメできる。

為替差益は、中長期で考えれば12円近辺に戻る可能性が高く、その間の高金利も享受できる。ただし、為替差益を抜きにすると最低でも2年は保有する必要があるが、そのタイミングで現在の10円を越えている可能性は微妙なところだ。欧州問題や天変地異など不確定要素で、どうなっているかは分からない。その場合には、さらに我慢を重ねて10円超えまで我慢する必要がある。そこまでの覚悟があれば、高金利も獲得できて資産運用としては成功する可能性がある。