シンガポール・ドル/ 外貨普通預金の金利・為替コスト(手数料)・変動率比較

シンガポールの国旗
オススメ度:
1
通貨名:
シンガポール・ドル(SGD)
国名:
シンガポール
金利:
0.40% ※新生銀行
手数料:
1円あたり0.50円 ※新生銀行
現在値:
66.0円(2012年3月20日時点)
最高値:
81.2円 ※過去5年の最高値

シンガポール・ドルでの外貨普通預金は金利が低く安定してない?

シンガポールドルは主にシンガポールで流通している通貨で、同じ東南アジア圏にあるブルネイでも利用されており、ブルネイドルとは等価(固定相場・ペッグ)となっている。為替レートに関しては、対円では他国通貨とは同様の動きで、2008年近辺のリーマンショック時には円高に動いている。2011年の欧州債務時の円高、年明け後の日銀の金融緩和での円安も他国と同様だ。一方で、シンガポールドル/USドルで見ると、2002年以来、シンガポールドル高への流れが止まらず、現在は2002年時の30%近くはシンガポール高になってしまった。

香港ドル・円の為替チャート

近5年のシンガポールドルの対円での動きは、欧州問題で下落した分は即座に回復しており、現在は2009-2010年の水準まで来ている。

しかし、今から2008年の80円近辺までは道は長そうな雰囲気だ。近々の数ヶ月でもシンガポール高への勢いに一服感がある。当面の数年は65-70円のレンジを動くだけと読むべきか。。。他アジア国と比較しても対ドルで割高感が出始めているのが痛い。

シンガポール経済指標(失業率・小売売上高・住宅着工件数など)

シンガポール・ドル高を左右するシンガポール経済だが、2011年は苦しい状況だったようだ。特に前年の2010年が好調過ぎたこともあり、2011年通期の成長率は4.5%程度で、2010年の14.5%よりも大きく鈍化してしまった。その主要因は欧州問題やアメリカ経済の回復が鈍い点、中国経済の減速感といった外的要因が主ではあるが。。。

現に他の指標を見ると、失業率は2%と低く、鉱工業生産も小売売上高も戻りつつある。来訪者も順調に増加しており外貨獲得に、来訪者向けのサービス業の利益増や雇用拡大も見込めるのが良い。2012年は悪くはないはずだ。

次に、シンガポール・ドルで外貨普通預金を始めるにあたり、各銀行の金利と手数料を比較した。金利が高くとも為替コスト(手数料)が高額であれば、実際に手元に入る利益は減額されるため、金利から手数料を差し引いた金額を計算した。この場合、為替の上下(為替益)と税金は考えないものとし、預け入れ時の金額は100万円で1年間の運用で計算した。また、便宜上、70円=1シンガポール・ドルから変動しないものとして計算し、特殊なキャンペーン金利などは無視することとした。
預け入れ時:100万 ÷(70円+手数料)=預け入れ時のシンガポール・ドル
払い戻し時:預け入れ時のシンガポール・ドル ÷(70円+手数料)=払い戻し時の円
利息:預け入れ時のシンガポール・ドル × 金利 × 1年

外貨預金の銀行毎の金利・手数料・利息・手数料と利息の差(住信SBI・楽天銀行・ソニー銀行・スルガフィン工・新生銀行・三井住友銀行・三菱東京UFJ銀行)

シンガポール・ドルは、実際には三井住友や三菱東京UFJも取り扱っているが、金利や為替手数料が公表されていなかった。その他のネット銀行を含めて各銀行を調べたが、シンガポール・ドルを扱っているのは新生銀行のみだった。もちろん、FXなどであれば別だろうが、とりあえず外貨普通預金でシンガポール・ドルを利用するなら新生銀行しか無さそうだ。

次に、新生銀行でシンガポール・ドルで外貨普通預金を組むとして、他国の通貨での外貨普通預金を組んだ場合の金利や1外貨あたりの手数料、近1年・近5年の為替レンジ、変動率(どの程度の比率で為替が変動したか? ※パーセンテージが低いほど変動しても相対的な差は狭い)、為替が変動しなかった場合の100万円を1年運用した場合の損益を比較した。計算上の為替レートは2012年3月時点の数字を採用した。

外貨預金の通貨毎の金利・手数料・レンジ・最大変動幅・変動率・運用例(米ドル・豪ドル・ユーロ・NZドル・英ポンド・スイスフラン・南アフリカランド)

シンガポール・ドルでの外貨普通預金は為替が変動しない場合、他国通貨と比較すると想定の利益は中程度というところか。金利は高くないため、為替差益を狙うしか大幅な利益増は得られそうにない。手数料が安いわけでもないため、手数料分の元をとろうとしても2~3円程度は上昇を待つしかない。

ここ数年の変動率を見ると71.6%で、この幅も他国と比較すると大きいわけでも小さいわけでもない。過去に80円近辺にあったことを考えれば、間違いなく割安感は感じられるが、どこまで伸びるかが微妙だ。

結論としてはオススメできそうにない。金利が低いわりに手数料は高め、さらに特別に他国よりも安定しているわけでもない。シンガポールの経済状況が他国よりも特別に良いわけでもないのが、さらに買い気を削いでくる。これなら為替の安定を求めるならスイスフランあたり、金利ならリスクを増やして豪ドルか米ドルでも十分に検討に値する。