イギリス(英国)・UKポンド/ 外貨普通預金の金利・為替コスト(手数料)・変動率比較

イギリス(英国)国旗
オススメ度:
1
通貨名:
英ポンド(UKポンド,GBP)
国名:
イギリス /英国 /グレートブリテン及び北アイルランド連合王国
金利:
0.07% ※住信SBIネット銀行
手数料:
1円あたり0.4円 ※住信SBIネット銀行
現在値:
131.6円(2012年3月20日時点)
最高値:
216.1円 ※過去5年の最高値

イギリス・ポンドでの外貨普通預金は英国経済が回復に入ってない今は!

イギリスポンドは主にイングランド本国で流通している通貨ではあるが、連合王国であるスコットランド・ウェールズ・アイルランドでも利用されている。ユーロ圏にあるが、ユーロは導入せずに自国通貨を保持し続けている。過去20年のポンド/円の動きを見ると、激しい上下を繰り返しており、好景気になる度にポンド高・円安になっているが、2007年からは長期的なポンド安・円高傾向にある。一方で、ポンド/USドルで見ると上下はしているものの、現在は90年代の水準に戻っている。

英国ポンド・円の各種為替チャート

さて、左図の通り近3年のポンド対円は、基本的には円高傾向にある。直近の数ヶ月こそポンド安・円高に向けて反発しているが、未だに2010年時の130円後半~140円までは回復していない。長期的なポンド安トレンドは間違いない。ここから140円手前までは回復してもおかしくないチャートではあるが・・・

一方で、ポンド対USドルでは2010年時まで回復している。世界的なリスク回避志向が弱まれば、ポンド高には向かうだろうが、後述する英国経済が不調なため、伸びしろは厳しそうだ。

ヨーロッパ・ユーロ圏の各種経済指標(小売売上・失業率など)

ポンド高を左右する英国経済の状況だが、現在の状況は決して良くない。GDPは10-12月期こそプラスに転じたが、1-3月期は再びマイナスになってしまった。イギリスの主な輸出先は米国とヨーロッパ各国が主であるため、その欧州が債務問題に揺れたためイギリスにも影響が出ている。左図の右上グラフにもあるが、製造業は大幅なマイナス生産で状況は非常に良くない。

イギリス国民の実態的な感覚としても左図左下グラフの通り、景気の見通しもマイナス、今後の所得も減額すると踏んでおり、家計の紐が緩むことは無さそうで、内需拡大は期待できそうにない。失業率も4.5-5.0%と高止まりを続けており、回復する見込みが無い。イギリス中銀も2012年に量的緩和などで金融緩和で市場への資金流入を図っているが、未だに市場の本格的な回復は見込めていない状況だ。

次に、ポンドで外貨普通預金を始めるにあたり、各銀行の金利と手数料を比較した。金利が高くとも、為替コスト(手数料)が高額であれば、実際に手元に入る利益は減額されるため、金利から手数料を差し引いた金額を計算した。この場合、為替の上下(為替益)と税金は考えないものとし、預け入れ時の金額は100万円で1年間の運用で計算した。また、便宜上、130円=1ポンドから変動しないものとして計算し、特殊なキャンペーン金利などは無視することとした。
預け入れ時:100万 ÷(130円+手数料)=預け入れ時のポンド
払い戻し時:預け入れ時のポンド ÷(130円+手数料)=払い戻し時の円
利息:預け入れ時のポンド×金利×1年

外貨預金の銀行毎の金利・手数料・利息・手数料と利息の差(住信SBI・楽天銀行・ソニー銀行・スルガフィン工・新生銀行・三井住友銀行・三菱東京UFJ銀行)

上図の通り、各銀行でポンドで外貨普通預金を組んだ場合を比較すると、金利こそ他行に劣るが、メガバンクの10分の1の手数料の安さで住信SBI銀行が最も有利な数字になっている。金利自体はスルガや三菱東京UFJが高いが、ネットバンクでは考えられない手数料の高さが足を引っ張っている。

結果的に、100万円で1年運用した場合には、手数料は1,000円~最大50,000円程の差額が発生するため、これから運用するならメガバンクなどを回避して、住信SBI銀行で決まりだろう。

次に、住信SBIでポンドで外貨普通預金を組むとして、ポンドでの外貨普通預金と他国の通貨での外貨普通預金を組んだ場合の金利や1外貨あたりの手数料、近1年・近5年の為替レンジ、変動率(どの程度の比率で為替が変動したか? ※パーセンテージが低いほど変動しても相対的な差は狭い)、為替が変動しなかった場合の100万円を1年運用した場合の損益を比較した。計算上の為替レートは2012年3月時点の数字を採用した。

外貨預金の通貨毎の金利・手数料・レンジ・最大変動幅・変動率・運用例(米ドル・豪ドル・ユーロ・NZドル・英ポンド・スイスフラン・南アフリカランド)

ポンドでの外貨普通預金は、為替が変動しない場合、他国の通貨と比較すると中の中の位置だ。金利は低い部類で、手数料は高い部類と良いことが無いが、1ポンドが対円では高額なため、ポンドあたりのトータルで要する為替手数料は安くは済む。

また、ユーロと連動しているイメージが強いポンドだが、実際の変動率で他国通貨と比較してみると、ユーロよりも変動する比率は高く不安定といえる。とはいえ、豪ドルやNZドルと同程度の数字で留まっている。

ちなみに、近々5年でポンド高円安の最高値をつけたのは2008年8月のリーマンショック前の好景気につけた216.1円、逆にポンド安円高は2011年9月の欧州債務問題が噴出した時の116.8円となっている。

結論としては、ポンドでの外貨預金はあまりオススメできない。チャートだけ見るとポンド上昇トレンドに入ってはいるのだが、世界的に徐々にリスクオンになっている気運から円安に進んでいるだけと読むべきではないか。ポンド/USドルは過去の水準まで戻っているが、ポンド/円は戻っていないことから、出遅れのポンド高の回復余地はあるはず。しかし、英国の足元の経済状況が悪すぎる。主な輸出先の欧州経済が芳しくないこともマイナス要因だ。一般的にポンドはユーロに連動していると言われており、本格的にユーロが回復しない限りポンド高も難しいだろう。この点、ユーロは欧州債務問題が解決しない限り過去の150円超えなどの高値に戻るのは難しいだろう。アナリストの中には2度と戻ることは無いと言っている者もいる。これからのポンド高には大いに疑問が残る。数字面でも、特に金利が高いわけでも手数料が安いわけでもないため、大人しく他国通貨での外貨預金を検討するのが無難な判断だろう。