ブラデスコ ブラジル債券ファンド(分配重視型)/ 三菱UFJ投信

三菱UFJ投信/ブラデスコ ブラジル債券ファンド(分配重視型)
オススメ度:
1
運用会社:
三菱UFJ投信
商品名:
ブラデスコ ブラジル債券ファンド(分配重視型)
地域/決算:
ブラジル / 年12回(毎月分配型)
対象資産:
債券
基準価額:
7,849円(2012年9月3日付け)
手数料:
3.0%(最安申込手数料 ※三菱UFJ銀行) 1.57%(信託報酬)

ブラデスコ ブラジル債券ファンドは計算上での利回りは赤字の可能性!

この投信はブラジル国債に投資し、高金利と売買益を通じて分配金を出している。特にブラジルは資源が豊富で鉄鉱石を始めマンガン・ボーキサイト・ニッケル等も豊富だ。さらに米国に匹敵する産油国でもあり、エタノールの生産量も世界2位だ。農業も盛んでサトウキビ・コーヒー・オレンジの生産量は世界一位だ。典型的な資源国でもあるが、五輪・W杯を控えてインフラ整備での経済成長が見込める。そのため、数年前よりブラジル人気は過熱し、ジャパンマネーがブラジル経済を混乱させていると政府に揶揄された時期もあった。さて、この投信の分配履歴を振り返ると、現在の分配金は毎月100円だが、2012年7月までは140円であった。欧州・中国の経済情勢悪化もあるが、ブラジル国債の金利低下が響いての結果だ。

ブラデスコ ブラジル債券ファンド(分配重視型)の基準価額(基準価格)及び純資産の推移チャート

まず基準価額だが、他社より早く2010年から下落が続いている。時折は反発するものの、下落する流れには逆らえていない。基準価額を削った分は累積投資額(分配込みの基準価額)の上昇に充てているが、それも現在は2010年の水準にしかない。純資産も同様に減少しており、増加する気配が無い。このままの減少を続ければ、毎月分配型の投信は資産を削って分配金を出すため、100円から80円・60円と減額される可能性が高い。

ブラデスコ ブラジル債券ファンド(分配重視型)のデュレーション及び組み入れ上位銘柄

上位の組み入れ銘柄だが、ほぼ全てを当然ながらブラジル国債が占めている。構成銘柄に記載されているLTNは割引債、NTNは利付債を表す。詳細な比率は不明だが、割引債の方が比率が高いようだ。割引債は、債券額面よりも割り引かれた価格で購入することで償還する際に額面通りの金額を受け取り差額を利益にできる。

他社と特に大きな差異は見受けられないが、物価連動債が組み入れられていない点がある。インフレが進むことで元本も利子も増加する物価連動債がないのは、インフレが着々と進行しているブラジルに投資するのには少々痛いか。。。

今後の見通しだが、GDPや政府の経済対策から見たブラジル経済は「ブラジルボンドオープン」、金利・インフレなどからのブラジル経済は「新光ブラジルボンド・ファンド」を参照してほしい。基本的には、かろうじて好調を保っているように見えるが、その実、不安要素は多々存在している。特に金利低下が続いていることで、この投信にも利子収入が減った分だけパフォーマンス低下を招いている。さらに輸出を助けるべく政府が行っているレアル安の施策は、この投信はレアルから最終的に円に交換しなければならないため、パフォーマンスの明らかな低下をもたらす。状況は必ずしも良くはないといえるだろう。

次に、他社のブラジル債券型の投資信託(純資産ランキングで上位)と、基準価額、手数料、信託報酬、利益額、分配利回り等を比較した。「利益額=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額」

最後に、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。
計算上での考え方は「前年比で基準価額がマイナス5%とすると、1年後・2年後・3年後も5%ずつ減額した場合、3年分の分配金を足すと元金の100万円を超えているか否か?」
※増減率は1年前の基準価額から現在まで何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。

商品名 大和投信
ブラジル
ボンド
レッグメイソン
ブラジル国債
ファンド
新光投信
ブラジル債券
ファンド
大和投信
ブラジル
レアル債
ブラデスコ
ブラジル債券
ファンド
基準価額 8,005円 6,883円 7,700円 8,243円 7,849円
増減率 -9.2% -17.2% -25.9% -9.0% -21.4%
手数料 1.5% 2.0% 3.0% 3.0% 3.0%
信託報酬 1.40% 1.62% 1.26% 1.40% 1.57%
信託財産
留保額
0% 0% 0% 0% 0%
分配利回り 16.6% 12.3% 21.3% 16.1% 13.5%
3年分の
利益額
482,633円 349,822円 610,122円 452,031円 381,557円
100万で
3年運用
※基準価額増減考慮
1,230,787円 917,036円 1,017,269円 1,206,212円 866,417円
最終予想
利回り
7.17% -2.85% 0.57% 6.45% -4.67%
ブラジル債券型投資信託の比較表(大和投信ブラジル・ボンド・オープン毎月決算型・レッグメイソン ブラジル国債ファンド・新光投信ブラジル債券ファンド・大和投信ブラジル レアル債・ブラデスコ ブラジル債券ファンド(分配重視型))

上図の通り「ブラデスコ ブラジル債券ファンド(分配重視型)」は、基準価額を他社よりも大きく削っており、1年前の基準価額は9,991円から現在の7,849円まで20%以上の下落をしている。しかし、分配利回りは13%と他社よりも低い。資産を削っているにも関わらず分配金が少ないのは愚の骨頂と言われそうだが、2012年7月までは分配金が140円であったため、上図よりはマシな数字が出たはずだ。もしかすると分配金を減額した今後は、基準価額は直近1年よりも下落しないかもしれないが、それでも計算上では赤字運用になる。また、そのマイナスは4%とワーストである点は覚えておきたい。

最後に結論だが、数字上はオススメはできない。同じブラジル国債で運用している以上は、運用成績は運用会社の腕次第ともいえる。大人しく他社のブラジル債の投信も検討するのが賢明だろう。また、ブラジルの経済情勢を考えると、綱渡りの好景気を歩んでいる可能性がある。ブラジルにこだわらずに、オーストラリアや米国リートなどにも計算上の予想利回りが高い投信があるため、そちらにも目を向けたいところだ。