老後・高齢になってからの1人暮らし

老後に住み替えるならシニア向けマンション?UR?サ高住?

老後・高齢者になってから1人暮らしになる人は多いが、同居人に気遣いが不要であったり好き勝手に食事・外出ができるため、子供と同居するよりも生活満足度は高い。老後の1人暮らしをする上での住居の選択肢は幾つかあるが、1人暮らしであれば過度な広さは掃除の手間を増やすだけのため、手頃な広さの賃貸・分譲住宅を検討する人が多い。

検討時に候補となるのは通常の賃貸物件の他に、シニア向けマンション・シルバーハウジング・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)も候補となってくる。サ高住は一時期の過度な人気によって供給不足が叫ばれているが、建築数は需要に応えるにように右肩上がりで上昇しているため供給不足は早晩解決するだろう。

サ高住の登録数と物件数の推移グラフ

自宅に住み続ける以外に高齢者が選択できる選択肢が増えているのは間違いないが、それでは各住宅には、どのような特徴があり、メリット・デメリットがあるのか?

まず「シニア向けマンション」だが、マンションに併設されているレストランでの食事や旅館なみの大浴場で入浴ができたり、カラオケ・麻雀ができる娯楽室で仲間と楽しむ(各娯楽によって教室・クラブができていることが多くメンバーには事欠かない)ことができる。また、地域によってはゴルフ場やテニスコートなどがあるマンションもある。とかく娯楽の限りを尽くせるといってもいい内容がメリットといえる。

他方でデメリットとしては、まずは料金の高さが挙げられる。このタイプのマンションの多くは分譲タイプのため数千万円の購入費用が必要となり、さらに入居後は施設使用料・管理料などで月々に数万~数十万円が必要となる。分譲でない完全に賃貸のものもあるが、その分だけ月々の負担額が増えるため、やはり金銭的な負担が大きいデメリットがある。

シニア向けマンション・シルバーハウジング・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の特徴・入居条件・介護サービス・費用・メリット・デメリットの比較表

さらに、入居者の条件は年齢が60歳以上などの他に、介護度が進行すると退去させられるデメリットがある。軽度の介護であれば、施設に付随する介護サービスで対応してくれるが、介護施設ではないため限度がある。その線引きがどこにあるのかは各マンションによって条件が異なるため、入居前に粒さに調べておく必要がある。いつまで居住していられるか?という視点は、金額が大きいだけに絶対に必要だ。高齢者限定の住居のため売却するにも言い値まで叩かれる可能性もある。

次に「シルバーハウジング」だが、これは各自治体やUR都市機構(旧都市公団と地域振興整備公団の合併した組織)が運営する高齢者向け賃貸住宅だ。シニア向けマンションほどの設備・施設は無いが、バリアフリーで安否確認システムが設置されており、生活援助員が生活のサポートをしてくれる。住まいだけ確保したいなら有力な選択肢で、家賃が10~20万円程度と安く保証人が不要なのも大きなメリットだ。

シルバーハウジングの設備例イメージ

他方でデメリットとしては、そもそも入居するまでの当選倍率が数百倍と高く抽選が当たる確率が低い点が挙げられる。また、地域によっては年収制限(年収300万円以下など)があったり、土地・建物を所有していると申し込めなかったりする。自宅の土地・建物は子供に相続させるために保持したい人などは注意が必要となる。また、シニア向けマンションと同じく介護の進行度合いによっては、退去させられる点もデメリットとして忘れずにおきたい。

前述の2つよりも介護の度合いが進行しても入居していられるのが「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」だ。軽い介護サービスのある賃貸物件と完全な介護施設の中間といえ、個室や自分専用の台所は浴室がありプライバシーは保持される。また、法律により介護福祉士か看護士が必ず日中は施設内に常駐している安心感がある。

サ高住の概要とイメージ

食事も自分で調理もできるが、歯が弱くなった人向けの食事などを用意してくれる施設もある。かなり介護の度合いが進んでも住めるのが最大のメリットだ。食費・光熱費などを込みにしても月額料金は地域差はされど10~20数万円と安く住めるのもメリットだ。

ただし、こちらも介護の度合いが寝たきり状態になったりすれば、退去せざるを得ないことになる。また、賃貸物件と介護施設の中間の位置づけのため、介護施設のように24時間必ず職員が対応してくれる(緊急時を除く)わけではない点も注意が必要だ。介護の度合いが進んだなら、結局は介護施設への転居が必要となるのはデメリットといえる。

以上が老後の1人暮らしの住み替え(賃貸物件)についてだが、その他に老後・終活・相続について不明点・疑問点が出てくることもあるだろう。ネット・書籍などで情報収集しても腑に落ちないなら、老後・終活セミナーに参加したり自治体の福祉課に相談したり、相続や老後資金については銀行・税理士・FPなどの無料相談を利用するのも手だ。