動産・金融資産の評価

相続税の対象となる動産・棚卸商品・骨董の評価方法とは!?

相続税は相続によって財産を得た人に課される税金だが、相続税の対象となる財産の金額は相続税法では「財産の取得時における時価(財産評価の原則も参照)」によるとされている。それでは、具体的に動産・無体財産権では、どのようにして金額として評価するのか?

まず、そもそもの動産定義だが、不動産の逆で土地・建物といった基本的に動かせない物に対して動かせる物が動産となる。動産を評価する上では概ね「一般動産」「棚卸商品等」「書画・骨董品等」の3つに分けて考えることになる。

自動車などの「一般動産」の金額の評価は、原則として売買実例価額、精通者意見価格などを鑑みて評価される。売買実例価額は同種の財産の価額を参考にしたもので、自動車であれば同型で同年式の自動車で似たような走行距離の自動車の価格を参考にするといった具合だ。精通者意見価格は自動車であれば中古ディーラーなどの意見を参考にすることになるが、自動車でもクラシックカーなどの単純に年式・走行距離では測りきれない価値がある場合に参考にされることが多い。

一般動産の財産評価

売買実例価額・精通者意見価格の両者とも明らかでなければ、その動産の小売価格から定率法による減価償却によって評価することになる。減価償却は新品時からの経過年数によって価値が下がるため、単純に新しいほど高く古いほど安くなる。

次に「棚卸商品」についてだが、こちらは自営業などで在庫などを抱えている人には重要な問題となってくる。棚卸商品が商品そのものであれば、商品の販売価格から利益・販売経費・消費税を差し引いて計算する。書籍であれば、書籍の販売価格から数%の利益を差し引き、広告宣伝費などの諸経費と消費税を差し引いた額で評価するといった具合だ。

他方で棚卸商品が加工前の原材料などであった場合には、仕入れ価格に引き取り費用等を加算して評価する。そのため、仮に100万円で原料である粗鉄を仕入れたとしても、その運送に10万円の費用がかかっていれば110万円で評価されることになる。。

棚卸商品の財産評価

ちなみに不動産売買業者が所有する販売目的の住宅は路線価方式ではなく、前述した棚卸商品と同じ方法で評価する。相続税対策などで不動産管理会社などを設立する人は多いだろうが、さらに進み過ぎて不動産売買業者まで行った人は一応は覚えておきたい。

最後に「書画・骨董品」の場合だが、こちらは一般動産と同じく売買実例価額・精通者意見価格等を鑑みて金額が評価される。ただ、書画・骨董品であれば一点ものも多いため、精通者意見価格も相当な意味を持つ。イメージとしては、開運なんでも鑑定団に近い(真贋は元より状態も考慮される)ものがあるかもしれない。ちなみに、こちらも販売業者で書画・骨董品を所有していた場合には棚卸商品として評価される。

以上が相続税における動産の財産評価についてだが、その他に相続について不明点・疑問点があることもあるだろう。ネット・書籍などで情報収集しても腑に落ちないなら、税理士・信託銀行などの無料相談や、自治体主催の無料参加できる相続セミナー・相談会で直に専門家に確認してみるのも手だろう。