埋葬・墓(墓地)・仏壇の基礎知識や選び方・予算など

墓石は多種類で費用もピンキリだが、どのような選び方があるのか?

墓地の種類・場所が決まると、いよいよ墓の建立となるが、第一段階である墓石からして種類が非常に多く悩みがちだ。それでは、どのような種類の墓石があり、どのように選べばいいのだろうか?

まず、墓石の種類だが、かつては職人が手と道具で加工していたため石としては柔らかめの安山岩(あんざんがん)が主流だった。しかし、昨今では加工機械を用いて墓石を作成するため硬質の花崗岩(かこうがん)が主流で、次いで安山岩・閃緑岩・斑れい岩なども用いられている。

現在の主流である花崗岩は御影石(みかげいし)と呼ばれることがあるが、本来は花崗岩の全てが御影石とはいえない。御影石の名は兵庫県の御影地方で最高級の花崗岩である「本みかげ」が産出されたのが由来だからだ。しかし、こと墓石・石材としては通称で「花崗岩≒御影石」と呼ばれ始めている。

墓石の種類(花崗岩・御影石・安山岩・閃緑岩・斑レイ岩・白御影・黒御影・桜御影・青御影)

また、御影石は色調・柄によって区分けがされている。代表的な色調は白御影と黒御影で、白御影は関西地方、黒御影は関東地方で多い。その他に桜御影・赤御影・青御影などがあり、色調によっても費用は異なってくる。ただ、色調よりは希少性の方が費用面に大きな影響があり、花崗岩であれば前述の兵庫の「本みかげ(本御影石)」の他に香川の庵治石(やじいし・あじいし)が最高級品として知られている。最高級ではないが有名な花崗岩には、茨城の稲田石・羽黒糖目石、岡山の万成石・北木石、愛媛の伊予大島石などがある。

花崗岩以外だと安山岩は神奈川の小松石が最高級と言われており、閃緑岩だと福島の牡丹石や鳥取の因幡青御影石が有名だ。各地方によって使用されている石の頻度に有無があるが、それは県民による石の好みよりは産地が近くにあるか否かによるところも大きい。どの石・色調が良いかは予算と好みで決めても悪くはない。

最高級・有名といっても価格のイメージが沸かないかもしれない。例えば、御影石の最高級クラスである庵治石だと墓一式にして80~150万円は固いが、一般的な白御影石で墓一式だと20~40万円で収めることができる。上を見ればキリが無い世界ということだ。

ここまで国産の石材ばかり記述してきたが、現在では全体の50%以上が輸入石材となっている。特に中国産の比率が高く、インド・ブラジル・韓国産も相応の比率を占めている。これらの輸入石材の最大の特徴は“安さ”で、同じような見た目でも国産の半値になることも間々ある。

花崗岩の輸入国別の比率

しかし、輸入石材だからといって低品質ということは必ずしもなく、単純に希少価値があるから高いことの方が多い。特に国産へのこだわりがなく予算重視であれば、輸入石材も悪い選択肢ではない。

それでは、どのような墓石の選び方があるかだが、最も簡単なのは予算と見た目を石材店に伝えて、石材店のお任せで選ぶという方法だ。そもそも墓石の良し悪しを素人が見極めるのは困難で、人生に何度も買う物ではないため試行錯誤(トライ&エラー)もできず玄人になるのは難しいためだ。予算管理さえ徹底できれば、時間も手間も相当に楽な方法だ

しかし、最低限のチェックは素人でも一応は可能だ。可能な限り石材店の言いなりになりたくないと思う(その前に信頼の置ける石材店を探すのも手だが)ならば、「石質」「表面のキズとムラ」「実物の確認」の3点は抑えておいた方がいいだろう。

まず石質だが、石質によっては水を吸いやすくコケが発生したり、凍結してヒビ割れの原因となることがある。石質が自分が取得した墓地に適しているかを書籍・ネットで確認しつつ、石材店でも重ねて確認するといいだろう。それと同時に墓石の表面にキズがあったり、見た目にムラが無いかもチェックする必要がある。

墓石のサンプル石

また、実物の確認も怠らないようにしたい。サンプル石で色調・柄を確認することは可能だが、実物大を前にするとイメージと異なることがあるためだ。さらに実物大を見て、墓地の他の墓より嫌に目立ちそう(目立ちたいなら問題ないが)なら変更する必要性も出てくるだろう。石材店で実際に建てて数年経過した墓を、石質の確認も兼ねて見させてもらうと手間も省けそうだ。

以上が墓石の種類と選び方についてだが、その他に墓・墓地について不明点・疑問点が出てくることもあるだろう。ネット・書籍などで情報収集しても腑に落ちないなら、お墓のセミナーや見学会などに参加してみるのもいいだろう。