埋葬・墓(墓地)・仏壇の基礎知識や選び方・予算など

寺院墓地のメリット・デメリットと申込前に抑えるべき注意点!?

自分自身が年齢を重ねてきたり、両親が死亡すると気になるのが墓・墓地についてだろう。どのような墓を建てるにせよ、墓地が必要となるが、墓地は経営主体によって「公営墓地」「民営墓地」「寺院墓地」の3つに大別できる。

その中でも寺院墓地は、宗教法人である寺院が運営・管理している墓地だ。民営墓地と同じく国が主体ではないため破綻(廃寺)の可能性はあるが、檀家が相当数いる寺院であれば、まず破綻する可能性は低い。そのため一般的には、民営墓地よりは墓地の閉鎖というリスクは低いと考えられている。

それでは、寺院墓地にはどのようなメリット・デメリットがあるのだろうか?

まずメリットだが、寺院墓地は寺院が墓地に隣接しているため、法要の手配がスムーズで寺院の本堂で行うことができる点が挙げられる。基本的に仏事を任せることができ、日ごろから僧侶によって手厚く祭られるのもポイントだ。特に信仰心が強い人であれば、寺院墓地は最高の墓地となる。

また、住職と面談して人柄を確認した後になるが、よき相談者となることがある。世俗の考え方から一歩離れた立ち位置からのアドバイスがあれば、墓地云々を超えた恩恵を受けられる可能性がある。さらに寺院というと山奥にあるイメージかもしれないが、民営墓地の方が丘陵地などにあることがあり、多少は市街地から離れていても寺院墓地の方が交通の便がよいことが多い。

一方のデメリットには、第一に寺院墓地を利用できるのは、その寺院の檀家(法事を任せ、お布施で寺院の財政を支える人)であり、今現在で檀家ではないなら檀家になる必要がある。新たに檀家になるには入壇料・檀家志納金を納めて、以後は護持会費・掃除料という名目の年会費を納め続ける必要がある。永代使用料は民営墓地に近いが、この入壇料・護持会費などが膨らむため費用面で負担が大きいというデメリットが寺院墓地にはある。

永代使用料の平均額

寺院墓地は地域にもよるが、東京であれば100万円程度、管理費は年間1万円程度が主流となっている。公営墓地よりは高額だが、最近の寺院墓地では納骨堂を設けていることがある。納骨堂は宗旨・宗派を問わず受け入れている寺院もあり、その額も墓地の使用料を取得するよりは安価なため、どうしても寺院墓地が良いのであれば寺院の納骨堂も一考の余地がある。

ただし、寺院のスタンスにもよるが、納骨堂の中の遺骨を置く位置によって料金が異なる場合などもあるため、本当に納骨堂で良いかは熟慮したいところだ。なぜか仏像に近いほど料金が高くなっている寺院など、商売っ気が強い寺院もあるため現地確認や寺院のスタンスが自分に合うかは要確認だ。さらに納骨堂が寺院から離れた堂内陵墓(マンションのような見かけの納骨堂)などの場合もあるため、イメージと異ならないか現地確認も必須だ。

ちなみに最近では宗旨・宗派不問とする寺院があり、前述の檀家になるデメリットを相殺しようと見せていることがある。しかし、多くは宗旨は仏教であることが大半で、キリスト教・神教などの他の宗教だと墓地の取得を断われることが多い。仮に広告などで宗旨不問と記載されていても、念のため寺院に確認した方が無難だ。

宗派不問の場合でも、「墓地取得後も宗派不問」と「墓地取得後は墓地のある寺院の宗派に属する」に分かれる。前者であれば特に問題ないが、後者であれば現在の宗派から改宗することになる。仏教の宗派は様々で、天台宗・真言宗・浄土宗・浄土真宗・臨済宗・曹洞宗等々とあるが、それぞれの宗派によって仏事の進行・墓の形・戒名などが微妙に異なる。既に戒名は持っているが墓地がなく、他の宗派の寺院墓地を取得する場合、戒名に違和感が出てくるため新たに戒名を付け直す(もちろんお布施が必要)可能性すらあるため注意したい。

仏教の宗派の県別の分布図

日本の代表的な宗派は、天台宗・真言宗系と浄土宗・浄土真宗系だが、地域によってバラつきがある。例えば、浄土真宗で一致団結した一向一揆で「百姓の持ちたる国」として約90年間の自治を保持した富山・石川・福井の北陸三県は、約40%近くが浄土宗・浄土真宗系になっている。一方で、四国は天台宗・真言宗系が根強く比率が高く、東北では禅宗系の臨済宗・曹洞宗の比率が高い。

このように各県の歴史・場所によって、どの宗派の人が多いかは変わってくる。お墓の移転・改装する予定の人も移転先の寺院墓地の宗派が異なると厄介なため、仏教と一括りにせず宗派を一度確認してみるといいだろう。

以上が寺院墓地についてだが、その他に墓・墓地について不明点・疑問点が出てくることもあるだろう。ネット・書籍などで情報収集しても腑に落ちないなら、お墓のセミナーや見学会などに参加してみるのもいいだろう。