FPC フリーペットほけんを比較・評価

FPC フリーペットほけん
オススメ度:
3
保険会社:
FPC(エフピーシー)
名称:
フリーペットほけん
補償割合:
50% or 70% or 100%
保険金請求:
郵送
オリコン:
7位 / 12社中
特徴:
充実の補償・お手頃な保険料

フリーペットほけんはFPCが募集・販売しているペット保険です。FPCは広島県福山市に本社を置き、2008年から少額短期保険業者としてペット保険の販売を開始しました。保険料の安さに定評があり、オリコンのペット保険ランキングの保険料部門では2位になっています。

保険料が安いと気になるのが補償内容ですが、補償内容は他社のペット保険とは異なる点が複数あるため要確認といえます。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社のペット保険と比較していきます。

補償内容・特約

この保険には50%補償プラン・70%補償プランがあり、治療費の50%か70%が保険金で受け取れます。どちらのプランも補償割合と保険料以外は同じで、通院・入院・手術の治療費が補償されます。ただし、各治療には1日・1回あたりの限度額があり、年間の限度回数も設けられています。

FPC フリーペットほけんの補償内容(出典:フリーペットほけんパンフレット兼重要事項説明書 2023年6月改定版)

通院は1日あたり12500円が限度額で、年間30日までのため年間37.5万円が年間限度額となります。入院は1入院あたり12.5万円が限度で、年間3回の入院までのため年間37.5万円が年間限度額となります。1入院あたりとは1回の入院から退院までのことを意味します。入院の日数は無関係のため、入院が1日であろうと2週間であろうと12.5万円までは補償されます。手術は1回あたり10万円が限度額で、年間1回までとなります。

治療費の補償以外に付けられる特約は無く、ペット保険の契約者向けの特典・サービスにも目立ったものはありません。特典といえば契約すると家電なりオリジナルグッズなりが抽選で当たるという程度です。治療費を補償するだけの非常にシンプルな保険といえます。

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保険料を他社と比較

この保険の保険料は補償プラン・ペットのサイズ(犬のみ)・年齢によって決まります。補償プランは50%の方が5000~8000円ほど安いです。ペットのサイズは小型犬が最も安く、中型犬・大型犬になると高くなります。しかし、0~8歳の間は保険料は犬のサイズに関わらず保険料は同額で、猫も同額となります。

FPC フリーペットほけんの保険料一覧(出典:FPC フリーペットほけん公式HP「保険料」)

この保険の保険料で特徴的なのは、保険料が毎年上昇せず数年置きに上昇する点です。4歳以下だと年間保険料は16950円で、0歳時に加入すれば4年間は同じ保険料です。5~8歳の間も保険料は25500円で、小型犬・猫だと9~11歳の間も25500円と同額です。12歳以降は保険料は据え置きとなるため、小型犬・猫だと保険料は5歳時と12歳時の2回だけ保険料が上昇することになります。

次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。ペットの年齢は0歳・5歳・8歳時で比較し、品種は犬はトイプードル、猫はスコティッシュ・フォールドとしました。各社の保険料は70%補償のプランの金額で、保険料は月払いよりも安くなる年払いの金額で一覧表で比較しました。さらに犬で0~14歳まで14年間契約した場合の合計保険料も比較しました。

ペット保険の犬猫の0歳・5歳・8歳時・0~14歳・平均値の保険料の比較一覧表(アニコム損保・アクサダイレクト・アイペット・ペットメディカルサポート・ペット&ファミリー・日本ペット・FPC・あいおいニッセイ同和損保・SBIいきいき少短・SBIプリズム少短・au損保・楽天損保・チューリッヒ少短・イーペット少短・イオン少短・リトルファミリー少短)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険の保険料は他社と比較すると年齢により高安が分かれます。犬は0歳・5歳では平均程度の保険料ですが、8歳では最安値ではないものの他社より安めです。猫は0歳では比較的安い部類に入りますが、5歳では他社よりも高めの部類に入ります。8歳になると再び他社よりも安い部類に入ります。

保険料が高いのか安いのか分かりにくいのですが、合計保険料にすると安さが分かります。犬で0~14歳(14年間)まで加入すると合計保険料は45万円と非常に安いです。この保険よりも合計保険料が安い保険もありますが、アニコムぷち等の通院を補償しない保険もあります。通院補償がある保険の中で保険料の安さはトップ3に入ります。

以上を踏まえると、フリーペットほけんの保険料は間違いなく安いです。ただ安いだけではなく、小型犬・猫だと保険料が2回しか上昇せず保険料負担が年齢と共に重くなりません。他社よりも契約者に配慮した保険料設定だといえるでしょう。

メリット

この保険のメリットは、まずは通院補償があるのに保険料が安い点が挙げられます。アニコムやPS保険の保険金支払データによると、保険金を請求したキッカケ(治療方法)は通院が80%以上を占めています。病気になって入院・手術ではなく、皮膚炎等では定期的に通院となり治療費が膨らむこともあるため通院補償は心強いでしょう。

保険料の上昇も段階的で、0~4歳・5~8歳・9~11歳・12歳以降と3回の上昇に留まります。小型犬・猫なら保険料は0~4歳・5~11歳・12歳以降と最大2回の上昇です。それも猫が9~11歳での保険料が31900円(70%プラン)なのが、12歳以降は34700円と上昇幅は僅か約2800円です。アニコムは猫が12歳時に62130円のため半額で済むことになります。

書類だけではなくアプリで保険金請求できるのもメリットです。FPC契約者向けの保険金請求アプリ「アニカル」を使えば、書類の郵送が不要でアプリで全ての手続きが完結します。2回目以降は以前の請求内容がアプリに登録されるためスムーズに請求できます。定期的にペットが通院するなら入力の手間も省けます。

アニカルの特徴とメリット(出典:アニカル公式HP「アニカルの使い方ガイド」)

補償面でいえば入院補償が1入院あたりという点もポイントです。1入院あたり12.5万円が限度のため入院日数が短かったが、検査等で高額な治療費になっても十分な補償が受けられます。他社の保険では入院は1日あたり1万円とする保険もあるため、この保険は1回の入院で12.5日まで補償されるとも言い換えられます。

デメリット・注意点

この保険のデメリットには、まずは1回あたりの支払限度額が低い点が挙げられます。通院は1日あたり12500円で他社の制限がある保険と変わりませんが、入院は1入院あたり12.5万円です。1日1万円とすると入院日数が12.5日を越えた場合に不足感があります。

さらに手術は年1回で10万円と回数も限度額も厳しく、1年間に2回の手術をすると2回目の手術分の治療費は補償されません。入院と手術で治療費が50万円だった場合、この保険の70%補償プランで受け取れるのは限度額の22.5万円(入院12.5万円+手術10万円)となります。50万円の70%は本来は35万円のため、補償されない12.5万円分だけ自己負担額が増える計算です。他社には細かい限度額は無く年間50~100万円とだけ設定している保険があります。

また、契約者向けの特典・サービスが無いのもシンプルで良いともいえますが、他社の多くの保険ではペットの健康・しつけについて無料相談できるサービスがあります。かかりつけ医がいても平日は対応してくれない可能性があるため、あるに越したことは無いサービスです。

ちなみにフリーペットほけんを販売しているFPCは少額短期保険業者である点もデメリットです。アニコム・アイペットのような損害保険会社は契約者保護機構に加入しており、経営破綻しても契約者には契約時の保険金・返還金が支払われます。その一方で少額短期保険業者は同機構に加入しておらず、経営破綻しても法務局に預けた供託金が契約者等で分配されるだけです。

同じ少額短期保険業者でもペットメディカルサポートは東京海上グループの日新火災等が出資していたり、日本ペットは上場企業のスカラグループの子会社だったりします。FPCには目立った後ろ盾がありません。現状では業績・決算に不安感はありませんが、一応は留意しておく必要があります。

評判・苦情

フリーペットほけんを販売しているFPCの2021年度(2021年4月~2022年3月)の決算資料によると、保険会社の収入を示す正味収入保険料は前年度の22.6億円から26.9億円になり19%増と絶好調でした。他社では横ばい・微増のケースもあるため、契約数からするとペット保険の評判は良いです。

現に価格.com経由の新規契約数ランキングでは、13社中2位とトップ3に入ります。保険料を重視して一括見積もりをするような人には好評と考えられます。犬と猫の新規契約数の合算ではなく犬単独では、この保険はリトルファミリー少短を抜いて1位でした。

その一方でオリコンのペット保険 総合ランキング2022(実際に保険を適用した4506人が調査対象)では、FPCは12社中7位と中位でした。ただし、ペットの種類別部門結果では小型犬では3位に上昇しています。保険料の箇所で既述したように小型犬では保険料の上昇幅が小さく3段階なのが評価された可能性があります。

この調査の評価項目は加入手続き・保険プラン・保険料・付帯サービス・保険金ですが、保険料が2位で突出している以外は総合順位と似た順位です。適用内容別部門結果では手術が9位と順位を落としており、やはり年1回の回数制限と10万円までという限度額が影響していそうです。

FPCのオリコンペット保険総合ランキング2022の順位と各項目の評判(出典:オリコン公式HP「FPC ペット保険の評判・口コミ」)

個別のクチコミでは「窓口精算できない」「保険請求に手間がかかる」「異なる病院に1日で2回かかると2回目は補償外」等のネガティブな意見がありました。概ね補償内容・デメリット等で記載した内容ですが、これらの点を保険料が安いからと納得できるかが焦点となります。

以上のデータから考えるとFPCのフリーペットほけんの評判は普通そうです。ただし、主に評判が良いのは保険料の安さについてであり、それを加味すると他の部分の評判は普通以下という可能性もあります。アプリで請求できるにも関わらず保険請求に不満が多い(アプリ自体にはログインでない等の不具合の不満が多い)のも気がかりです。

総合評価・おすすめか?

結論としては、フリーペットほけんは総合的には悪くない保険です。回数制限と限度額が厳しいという決定的なデメリットもありますが、保険料が安く通院まで補償されるのが大きいです。評判面でも注意点はあれど悪くなく、総合的に見れば加入しても悪くない保険といえるでしょう。

その一方で、とことん保険料の安さを追求したい人はリトルファミリー少短のペット保険等を検討した方が良いでしょう。保険料より補償内容・評判等を重視するならSBIいきいき少短・アニコム損保等のペット保険が候補になります。