どうぶつ健保ふぁみりぃを比較・評価

アニコム損害保険
オススメ度:
2
保険会社:
アニコム損害保険
名称:
どうぶつ健保ふぁみりぃ
補償割合:
50% or 70%
保険金請求:
窓口精算・LINE請求
オリコン:
3位 / 12社中
特徴:
ペット保険シェアNo.1!

アニコム損保は日本初のペット保険専門の損害保険会社で、ペット保険の国内シェアでは長年トップを維持しています。また、同社の大株主にはソニー損保が名を連ねており、アニコムのペット保険をソニー損保が代理店として販売しています。

トップシェアとはいえ他社が追随しており激しいシェア争いが広げられています。アニコム損保も現在はどうぶつ健保ふぁみりぃに加えて、どうぶつ健保しにあどうぶつ健保ぷちも販売して多様なニーズに対応しています。それでは以下で、最もスタンダードなどうぶつ健保ふぁみりぃの補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社のペット保険と比較していきます。

補償内容・特約

この保険は治療費の70%が補償される70%プランと、治療費の50%が補償される50%プランがあります。どちらのプランも通院・入院・手術が補償(ワクチン接種費等は補償外)されますが、1日・1回あたりの支払限度額に差があります。70%プランは入院・通院は1日あたり14000円、手術は1回あたり14万円まで補償されます。それに対して50%プランは入院・通院は1日あたり1万円、手術は1回あたり10万円までとなります。

どうぶつ健保ふぁみりぃの補償内容と補償割合(出典:アニコム損保のペット保険 パンフレット兼重要事項説明書 新規一般契約用 2023年2月改定版)

70%プランは通院・入院は年間20日までで手術は年間2回までが限度となり、金額にすると28万円が年間限度額となります。それに対して50%プランは入院・通院は1日あたり1万円、手術は1回あたり10万円まで補償されます。入院・通院の限度日数と手術の限度日数は同じのため、金額にすると20万円が年間限度額となります。

治療費の補償以外にペット賠償責任特約が付けられます。この特約はペットが他人に噛み付いたり、他人の物を壊した場合に1000万円まで補償されます。同居する親族へのケガやドッグラン参加中の犬同士のケガは補償されません(治療費は補償されます)が、あると心強い特約といえます。

その他に、無料の腸内フローラ測定等がある「どうぶつ健活」、LINEで獣医師やトレーナーに健康・しつけについて無料相談できる「どうぶつホットライン」、ペット探偵による迷子捜索等の迷子関連サービスがあります。無料相談以外は他社には無いサービスが揃っています。

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保険料を他社と比較

この保険の保険料は犬だと品種によってA~Eクラス(Aが安く、Eが高い)に分かれ、年齢が上昇するほど高くなります。犬のクラス分けは小型犬なら必ずAクラスになるわけではなく、犬の特性も加味されているようです。例えば他社では最も保険料が安いクラスに入るトイプードルは、アニコムではBクラスに入っています。また、中型犬である甲斐犬は中型でありながらAクラスに入っています。

その一方で猫だと品種は無関係で年齢だけで保険料が決まります。他社には血統種は保険料が高めでミックスだと保険料が安くなるペット保険もありますが、アニコムでは猫だと品種は関係ありません。保険料の割引項目には多頭割引があり、2匹目以降のペットの加入は600円割引(年払い)されます。

どうぶつ健保ふぁみりぃの保険料一覧と犬の品種別クラス分類表(出典:アニコム損保のペット保険 パンフレット兼重要事項説明書 新規一般契約用 2023年2月改定版)

さらに、この保険の保険料は健康割増引制度で変動します。前年度の入院・通院・手術回数が0回であれば保険料は10%割引になり、1~5回で5%割引、6~19回で割引なしになります。それ以上の20~39回になると保険料は20%割増、40回以上で50%割増になります。回数ではなく日数でもカウントされるため、年間で入院が20日(もしくは通院と合算して20日)を超えても、保険料は20%割増になります。

次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。ペットの年齢は0歳・5歳・8歳時で比較し、品種は犬はトイプードル、猫はスコティッシュ・フォールドとしました。各社の保険料は70%補償のプランの金額で、保険料は月払いよりも安くなる年払いの金額で一覧表で比較しました。さらに犬で0~14歳まで14年間契約した場合の合計保険料も比較しました。

ペット保険の犬猫の0歳・5歳・8歳時・0~14歳・平均値の保険料の比較一覧表(アニコム損保・アクサダイレクト・アイペット・ペットメディカルサポート・ペット&ファミリー・日本ペット・FPC・あいおいニッセイ同和損保・SBIいきいき少短・SBIプリズム少短・au損保・楽天損保・チューリッヒ少短・イーペット少短・イオン少短・リトルファミリー少短)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険の保険料は他社と比較すると高い部類に入ります。犬だと最安値圏の保険(通院は補償外)とは2倍以上の差があり、同じく通院まで補償されるアクサのペット保険と比べても1.5倍近い差があります。猫だと若干は保険料の高さが緩和されますが、それでも高いのは間違いありません。

さらに犬で0~14歳(14年間)まで加入した場合の合計保険料は91万円と非常に高額です。FPC等の他社には合計保険料が40万円台である保険もあり、一生涯契約するとなると負担は相当に大きいです。良い点を挙げるとすれば、元々高い保険料なのもあってか年齢による上昇幅は小さい点でしょうか。他社では0歳時は保険料が2万円台でも、10歳を超えると保険料が10万円を超える保険もあります。

どうぶつ健保ふぁみりぃ70%プランの8歳以降の保険料一覧(出典:アニコム損保どうぶつ健保ふぁみりぃ基本保険料表 2018年12月改定)

以上を踏まえると、どうぶつ健保ふぁみりぃの保険料は高く、トータルで考えても高いです。0歳時から10歳以降まで保険料は終始高く、保険料面では他社よりも厳しいと言わざるを得ません。この保険料の高さを肯定するだけのメリットがあるのか、続けてメリットを確認していきます。

メリット

この保険のメリットは、まずは入院・手術以外に通院治療まで補償される点が挙げられます。同社のどうぶつ健保ぷち・アイペットのうちのこライト等は、保険料は安いのものの通院治療は補償されません。アニコム損保の保険金請求件数のうち90%が通院治療(9%が入院で残り1%が手術)であるため、通院が補償されるのは大きいといえます。

保険金を請求する方法が3つあるのもメリットです。最も簡単なのが窓口精算で、どうぶつ健保対応病院で利用できます。診療明細書・診断書も不要で、どうぶつ健康保険証を提示するだけで治療費は自己負担分だけとなります。どうぶつ健保対応病院でないとアニコムに請求する必要がありますが、アニコムは郵送だけではなくLINEでも請求可能です。

どうぶつ健保ふぁみりぃのLINEによる保険金請求(出典:アニコム損保公式HP「保険金のご請求方法(窓口精算・直接請求)」)

補償・サービス面でいえばペット賠償責任特約の他に、どうぶつ健活・どうぶつホットライン・迷子関連サービスとサービスが豊富です。どうぶつ健活の腸内フローラ測定は測定キットを郵送すれば結果が分かり、さらに無料で動物病院で健康診断が受けられます。どうぶつホットラインは電話ではなくLINEのため漏れなく相談でき、ペットの様子を動画でも送れます。

迷子関連サービスはペット探偵による捜索が3日間は無料となり、地域の迷子捜索隊が捜索の手伝いもしてくれます。その他に愛犬と泊まれるトラベルウィズドック社で特典があったり、ベネッセのいぬのきもち・ねこのきもちの定期購読優待サービスもあります。

忘れがちですが、アニコム損保は損害保険会社である点もメリットです。損害保険会社は「契約者保護機構」に加入しており、経営破綻しても契約者には契約時の保険金・返還金が支払われます。少額短期保険会社もペット保険を販売していますが、少額短期保険会社は同機構に加入していません。

少額短期保険会社はペッツベストのように破産するケースも少なくありません。その点、アニコムはペット保険でトップシェアであり東証に上場もしています。経営には一定の透明性が確保されているため、少額短期保険会社のように急に経営破綻するという可能性も低いです。

デメリット・注意点

この保険のデメリットには、まずは保険料が高い点が挙げられます。1~3歳なら年間保険料は3万円台ですが、7歳で2倍の6万円台になり、11歳以降は8万円台に突入します。11~14歳の4年間に支払う合計保険料は32万円です。仮に膝蓋骨骨折で治療費が18万かかっても、保険に加入するより自分で支払った方が14万円も得です。

さらに保険料には割増引制度という落とし穴もあります。さすがに20回・20日以上の入院通院・手術は考えにくいですが、他社では割増引制度が無いペット保険の多いです。さらに犬だと小型犬でもAクラスではなくBクラスになる品種もあります。AクラスとBクラスは10歳以降は1万円近い差があります。他社では概ね小型犬は最安クラスになることが多いです。

どうぶつ健保ふぁみりぃの健康割増引制度の割増引率(出典:アニコム損保公式HP「健康割増引制度について」)

補償面では1回の支払限度額が細かく設定され、年間限度額も低いのもデメリットです。他社には1回あたりの上限がなく、年間の上限額も100万円超の保険があります。この保険の入院通院は1日14000円(年間20日まで)と手術の14万円(年間2回まで)は20万円を超える高額治療となった場合に不安があります。上限は同社のどうぶつ健保ぷちの方が高めに設定されています。

さらに窓口精算は便利ですが、自分の最寄りの動物病院が対応しているとは限りません。現在、窓口精算ができる動物病院は約6700件、日本にある動物病院が約12000件(農水省 飼育動物診療施設の開設届出状況より)のため、約半数でしか利用できず50%の確率で未対応となります。無料の健康診断ができる動物病院になると約2000件まで減少します。

また、ペット保険賠償責任危険補償特約は、自動車保険・火災保険等で個人賠償責任特約があれば不要です。こちらの特約ならペットだけではなく、自分が自転車で他人をケガさせた場合や子供が他人の物を壊した場合にも補償されます。それも保険会社が示談交渉までしてくれます。アニコムの特約だと示談交渉は自分でするか弁護士に依頼する必要があります。

評判・苦情

アニコム損害保険の2021年度(2021年4月~2022年3月)の決算資料によると、保険会社の収入を示す正味収入保険料は前年度の434億円から473億円になり9%増と好調でした。他社では横ばい・微増のケースもあるため、契約数からするとペット保険の評判は良いです。

ただ、価格.com経由の新規契約数ランキングでは13社中11位と下位に位置しています。ネットで一括見積もりをする保険料重視の人からの評判は、契約数からすると良くないと考えられます。

日本損害保険協会の苦情数のデータですが、アニコム損保全体に寄せられた苦情数は12672件(2022年度累計)でした。同じくペット保険専業のアイペットの3万件より明らかに少ないのは安心感があります。苦情の中身は「契約・募集行為」が5230件と最も多く、商品内容の改善要望・契約時の説明不足や誤り等についての不満が集まっています。

アニコム損保への苦情の内訳(出典:アニコム損保公式HP 2021年度 お寄せいただいたお客様の声の概要)

次にオリコンのペット保険 総合ランキング2022(実際に保険を適用した4506人が調査対象)ですが、アニコム損保は12社中3位と上位でした。ペットの種類別部門結果では、小型犬は3位・中型犬は3位・猫は4位と総合順位と大差はありません。

この調査の評価項目は加入手続き・保険プラン・保険料・付帯サービス・保険金ですが、その中で最も評価されたのは保険金です。アニコムは窓口精算の他にLINE請求もあり、保険金を受け取るための手続きは非常にスムーズなのが評価されたのでしょう。その一方で保険料は8位と低評価で、やはり保険料の高さが契約者にも相当に浸透しているのが分かります。

アニコム損保のオリコンペット保険総合ランキング2022の順位と各項目の評判(出典:オリコン公式HP「アニコム損害保険 ペット保険の評判・口コミ」)

個別のクチコミでは「回数制限があり使い勝手が悪い」「保険料が高い」「1日の上限が低く、1日で多くの検査・治療をすると保険の意味を成さない」「調査が厳しく保険金を渋っている感がある」等のネガティブな意見がありました。苦情と同様に補償の内容についてストレスを感じている人が多いようです。

以上のデータから考えると、アニコム損保のペット保険の評判は全体的には良さそうですが、補償内容の評判と保険料の評判は少し悪そうです。保険金は請求方法もさることながら、保険金の支払いへの苦情も多くはないため、保険金を受け取れるという保険の大前提は満たしています。その一方で補償内容と保険料については注意が必要でしょう。

総合評価・おすすめか?

結論としては、どうぶつ健保ふぁみりぃは総合的には悪くはない保険です。デメリットもありますが、それと同等か以上のメリットもあるからです。やはり窓口精算の利便性は高く、各種サービスが充実しているのはペットを飼っている人には大きいでしょう。

その一方で保険料の安いペット保険を探している人は、FPCやリトルファミリー少短のペット保険等を検討した方が良いでしょう。補償内容・評判等も重視するならSBIいきいき少短・ペットメディカルサポート等のペット保険が候補になります。