損害保険 解説・用語集

山岳事故(遭難事故)の確率は何%?

山岳事故は、その救出費用が高額なこともあり昨今では注目を集めており、併せてそれを補償する山岳保険にも注目が集まっている。それでは、実際に山岳事故(遭難事故)に遭遇する確率は何%なのだろうか?

山岳事故の件数の推移(警察庁)

まず警察庁が公表している2012年の遭難者数は2,465人になっている。総合科学研究所のデータ(及びレジャー白書)によると登山人口は約1,200万人程度のため、これを計算すると1年間で遭難事故の確率は0.02%になる。ハイキング・山菜取りのような軽い山登りも含まれていることもあり、事故に遭遇する確率は相当に低い。

その一方、日本山岳協会・日本勤労者山岳連盟といった登山者の団体が把握している事故数を合算すると、2012年時では613人であった。会員数が7万人強であるため、単純に計算すれば1年間に山岳事故に遭遇する可能性は約0.9%となる。確率は一気に跳ね上がり、100人に1人は事故に遭遇する可能性があることになる。

このように、基本的には山岳事故になる可能性は極めて低く、特にハイキングレベルなら山岳保険を契約する価値は極めて低い。ただし、本格的な登山なら事故の確率は高まるため、その際には山岳保険は必要性は高い。さらに考えるべきは、山岳事故の件数を年齢別に分けると約50%を60歳以上が占め、50歳以上を加えると63%となる。年齢が50歳以上にならば、山岳保険は必要不可避といえるだろう。

山岳事故の年齢別データ

以上のように、高額になるケースを考えれば山岳保険の利用価値は疑いようがない。特に、遭難して死亡すれば生命保険の保険金で諸費用をカバーすることも考えられるが、生き残った(こちらの方が可能性は高い)場合には、その後の治療費などもあり、かなりの出費と今後の生活に支障を来たす可能性もある。特に山岳事故の中で約63%が50~70歳となっているため、年齢が50歳を超えるようなら、万が一を考えて数千円をケチらずに山岳保険に加入しておいた方が賢明だろう。