損害保険 解説・用語集

何歳までにペット保険に入るべきか?

ペット保険の対象になるペットには、動物ごとに契約条件として年齢制限が設けられているケースが一般的だ。保険契約の更新は原則として無制限の場合が多いが、なぜ契約時に年齢制限があるか?というと、あまりに高齢な動物が加入すれば、他の保険者が支払う保険料との不均衡を招くためだ(高齢な動物は保険加入後の短期間で病気・ケガをする可能性が高い)こればかりは保険の特性上やむを得ないと考えるしかない。

一般的に新規の保険契約を締結するには、犬・猫で満7・8歳とする保険会社が多いが、ペッツベスト保険のように満16歳まで加入できる保険も存在する。実際、犬猫の死亡確率(寿命)と病気から、何歳までにペット保険を考えるべきか?

犬の死亡確率(寿命)

まず、業界最大手のアニコムのデータを参考にすると、犬の平均寿命は13.7歳(人間でいう68歳相当)となっており、人間よりと同等か少し短命といったところだ。

ただし、死亡確率のグラフで見ると状況は異なって見える。最初に気づくのが0歳の段階で1%の犬が死亡している点だ。交通事故のような不可抗力があるにしても、先天性異常などがあり死亡してしまうケースも考えなければならないということが分かる。この点を考慮すれば、ペットを飼い始めることが決定した瞬間からペット保険に加入した方が良いことになる。しかし、0歳~5歳までの死亡率は横ばいか減少にあることから、0歳~5歳の段階で飼い始める人は、ペット保険を焦る必要は無いと考えられる。

問題は、5歳を超えてからの死亡率の高さだ。5歳時の死亡確率が約1%なのに対して、10歳になると確率は10%まで跳ね上がる。平均寿命までは残り3年となるため、それ以降の確率は一段と上昇する。このことから、遅くとも5歳までにはペット保険を検討した方がいいことになる。

それでは、死亡ではなく病気の発症(異常発見率)から考えるとどうだろうか。結果は少し異なる。

犬の年齢別の異常発見率と年間診療費の推移

まず、異常発見率のグラフを見ると、5歳までは緩やかに健康に異常が発見される可能性が高まり、6歳で急上昇、しかし7歳で減少している。この点からも5歳までに保険を加入した方が良いことになるが、7歳からでも遅くはないといえる。年間の診療費から見ても、7歳までは同じペースで診療費が増加しているが、8歳から診療費の増加が加速している。7~9歳未満でも遅くはないことになる。さらには、次に診療費が加速する11歳でも遅くはない。

ただし、8歳を超えてくると、支払う保険料も高めになる傾向が強く、病気で支払われる保険金とを天秤にかけると、保険に入る意味があるのかは微妙なことになる。なぜなら、それぐらいの年齢だと年間の保険料は4~5万円になる保険会社が多く、平均寿命の13歳までに支払う額は25万円程度になるためだ。25万円なら大抵は治療費としては事足りることが多く、わざわざ保険に入る意味は乏しくなる。

以上のことからペット保険を検討するなら、やはり5歳までがベストといえそうだ。7・8歳を超えてくると特に保険料の安いものにしておき、保険が適用できない場面も考えて数十万円は貯金しておくと万全だ。もちろん、前述したようにペット保険を利用しないのも手だ。基本は掛け捨てになるため、保険料を払ったつもりで貯金しておけば事足りる可能性も高い。さらに11歳を超えた場合は、2年後には病気になる可能性を考えれば、加入しておくのも妙味があるかもしれない。