損害保険 解説・用語集

保険代理店の役割

そもそも保険代理店とは、一般的に「保険契約の締結の代理・媒介」を行う者を意味する。代理と媒介には大きな隔たりがあり、「代理」は保険会社の代理として契約を締結し、保険料を領収する権限が与えられている。

その一方で「媒介」は、保険会社と契約者の契約締結を媒介するのみで、契約を締結することはできない。そのため一般的に代理店と名乗っていれば「代理」の権限が与えられていると考えていい。だが、損害保険と異なり生命保険の場合は、代理店には契約締結権・保険領収権がないため、ただの仲介人とも見なせる。

それでは具体的に保険代理店が何をするかというと、まず契約時には、保険商品の勧誘~商品説明から、重要事項を説明し、保険料の領収・領収書の発行までを行う。そして、契約後には変更・解約手続きに加え、事故受付や保険金請求のアドバイスも行うケースがある。ここまでが保険代理店の役割であり、事故後の示談交渉から保険金支払いの有無は保険会社の領域となり、保険代理店が関与することはない。

このように、保険の勧誘から始まり、保険代理店がカバーする領域は広い。そのため「損害保険料の仕組み」でも記載した通り、保険代理店にも相応の手数料・報酬が支払われている。そして手数料・報酬に関しては保険会社によって差異がある。そのため、本来であれば中立な視点で保険を勧誘すべき保険代理店(専属を除く)だが、報酬・手数料から来る利益の追求のために特定の保険を勧誘する問題がある。これに関して表沙汰となり金融庁が査察に入った例に、保険の窓口とソニー生命の癒着がある。保険代理店の数は年々減少しているものの、契約では代理店扱いが8~9割と以前として高く、直扱い(保険会社と顧客との直接契約)よりも多い。保険代理店の存在意義は以前と大きいのだ。

もちろん全ての保険代理店が偏った勧誘をしているわけではないが、決して善意のみで商品を勧誘・紹介しているわけではない点は覚えておきたい。特に、これから保険の見積をとる人、商品選びに迷っている人で、仕事で忙しく自分で比較できなければ、保険代理店を利用したい人も多いだろう。しかし、決して保険代理店の言いなりにはならないようにしたい。特に思考停止して「オススメの保険はどれですか?」などと聞こうものなら、保険代理店の思う壷だ。保険代理店を利用するにしても、自分が求める条件を明確にして向き合う必要がある。